◎この爆破テロでは外国人観光客を含む250人以上が死亡、500人以上が重軽傷を負った。
2023年1月12日/スリランカ、首都コロンボの最高裁前、2019年の連続爆破テロの犠牲者遺族と関係者(Lahiru Harshana/AP通信)

スリランカの最高裁判所は12日、2019年4月に発生した連続爆破テロを回避できなかったのは当時の大統領らの責任と裁定し、シリセナ(Maithripala Sirisena)元大統領らに賠償金の支払いを命じた。

この爆破テロでは外国人観光客を含む250人以上が死亡、500人以上が重軽傷を負った。

判事はシリセナ氏に対し、遺族に1億ルピー(約3500万円)を支払うよう命じた。また、当時の警察長官らにも計2億1000万ルピー(約7400万円)の支払いを命じた。

イスラム国(ISIS)に忠誠を誓う地元の過激派組織は2019年4月、3つのカトリック教会を含む8カ所をほぼ同時に爆破した。そのうち6件は自爆テロと報告されている。

シリセナ氏と当時のウィクラマシンハ(Ranil Wickremesinghe)首相(現大統領)は断交状態にあり、最高裁は大統領府と首相府のコミュニケーション不足がISIS勢力の監視に影響を与えたと裁定した。

また最高裁はシリセナ氏が国防相と軍司令官を兼任していたことに触れ、「当時の大統領は安全保障定例会議を招集せず、開催した会議から主要人物を除外していた」と指摘した。

「テロはシリセナ氏の不作為が招いた人災と言える...」

最高裁は「シリセナ氏の不作為が悲惨な結果を招き、多くの人命が失われ、財産が破壊され、人種・民族・宗教間の憎悪を煽り、この国の構造そのものに深刻な影響を与えた」と批判した。

さらに、検察が提出した証拠に言及し、「シリセナ氏は国防相と軍司令官を兼任していたが、当時の記録によると、過激派の台頭に全く注意を払っていなかった」と断じた。

この問題を調査する委員会は以前、業務上過失致死傷罪の適用も視野に入れるべきと政府に勧告したが、フォローアップされていない。

政府はこの襲撃事件に関連して数人を起訴したものの、カトリック教会の指導者たちはISISだけでなく、イスラム教の聖職者も事件に関与している可能性があると主張し、より広範な捜査を行うよう求めている。

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