◎スリランカは昨年、返済期限を迎えるた対外債務約70億ドルの返済を停止し、デフォルトに陥った。
2022年5月12日/スリランカ、首都コロンボ、ウィクラマシンハ首相(Eranga Jayawardena/AP通信)

スリランカウィクラマシンハ(Ranil Wickremesinghe)大統領は28日、来月8日まで国会を一時的に閉会すると発表した。

ウィクラマシンハ氏は27日遅くに閉会を命じる政令に署名した。

大統領府は声明で、「ウィクラマシンハ大統領は2月8日に国会で施政方針演説を行う」と発表したが、閉会する明確な理由は示さなかった。

地元メディアによると、政府は少数民族タミル人との権力共有に関する政策も発表する見通しだという。多数派のシンハラ人とタミル人反政府勢力による内戦は2009年に終結している。犠牲者は10万人と見積もられているが、正確な数字は不明だ。

一部の野党議員は閉会に怒りを表明しているが、国内の政治アナリストは「破産国家の再出発を宣言する重要な政策が発表される」という見方を示している。

あるアナリストはSNSに、「ウィクラマシンハ氏は再出発を国内外に大々的に宣伝したいのだろう」と投稿している。

スリランカは昨年、返済期限を迎えるた対外債務約70億ドルの返済を停止し、デフォルトに陥った。対外債務は510億ドルを超え、そのうち280億ドルは2027年までに返済しなければならない。

持続不可能な債務、コロナの大流行による観光業の低迷、ロシアのウクライナ侵攻による燃料価格高騰などの影響により、食品、医薬品、その他の生活必需品などが圧倒的に不足している。

物価と燃料不足はラジャパクサ(Gotabaya Rajapaksa)前大統領を追放する大規模デモに発展した。

ウィクラマシンハ氏は国際通貨基金(IMF)と融資交渉を進めており、国内経済にも多少改善の兆しが見られるものの、燃料不足による停電は解消せず、政府は公務員への給与支払いやその他の行政機能の維持に苦労している。

IMFは政府に歳出を削減するよう求め、政府は増税や電気料金の値上げに踏み切った。

スリランカはIMFとの交渉が完了するまでは対外債務の返済は行わないとしている。

政府は今年、各省庁の予算を6%削減し、軍隊の規模を3分の1に縮小すると発表した。国会議員は閉会中も活動を継続する。

2022年4月4日/スリランカ、首都コロンボの抗議デモ(Getty Images/AFP通信/PAメディア)
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