◎ラジャパクサ氏は2週間前、経済危機をめぐる抗議デモが過熱したことを受け、モルディブ経由でシンガポールに逃亡した。
スリランカ政府は26日、シンガポールに逃亡したラジャパクサ(Gotabaya Rajapaksa)前大統領が帰国する見通しであると発表した。
首相府の報道官によると、帰国日は決まっていないが、ラジャパクサ氏は帰国する意向を示しているという。
ラジャパクサ氏は2週間前、経済危機をめぐる抗議デモが過熱したことを受け、モルディブ経由でシンガポールに逃亡した。
スリランカは現在、隣国インドの信用枠で何とか食いつないでいる。政府は今年返済期限を迎える対外債務70億ドルの返済を停止し、デフォルトに陥った。
国の信用は外貨準備の枯渇と債務不履行で失墜し、信用取引で燃料を販売してくれる取引先は激減した。政府は石油貯蔵施設が空になりかけているとして、燃料の一般販売を停止している。
国民は調理用ガス、ガソリン、食料、その他日用品の入手に苦労しており、その影響は貧困層から中産階級に拡大、世界に衝撃を与えた。
デモ隊はラジャパクサ政権の政策が経済危機を招いたと主張している。
ラジャパクサ氏はシンガポール到着後、メールで辞表を提出、受理された。
報道によると、ラジャパクサ氏は妻とボディガード2人と行動を共にしているという。同氏は大統領の免責特権を失っているため、逮捕される可能性がある。
シンガポール政府はラジャパクサ氏について、「政治亡命は求めていない」と説明している。
ニュース専門局チャンネル・ニューズ・アジア(CNA)によると、ラジャパクサ氏はシンガポールに滞在するために14日間のビザを与えられたが、27日にその期間を14日間延長したという。
一部のメディアは「ラジャパクサ氏はUAE(アラブ首長国連邦)に飛ぶ」と報じている。
しかし、ブルームバーグは政府関係者の話を引用し、「ラジャパクサ氏はスリランカに戻ることを望んでいる」と報じた。
首相府の報道官も記者会見で、「私の知る限り、彼は戻ってくるはずだ」と記者団に語った。
ラジャパクサ氏の辞任を求める抗議デモはひと段落したが、首都コロンボの一部地域ではウィクラマシンハ(Ranil Wickremesinghe)新大統領の辞任を求める抗議デモが続いている。
ウィクラマシンハ氏はラジャパクサ氏と深いつながりがあるものの、多くの専門家が国際通貨機関(IMF)との救済交渉を率いてきたウィクラマシンハ氏にチャンスを与えるべきと指摘している。