◎この措置は国際通貨基金(IMF)との協定に沿ったものである。IMFは先週、スリランカ向け救済プログラム、4年29億ドルを承認した。
2022年4月2日/スリランカ、首都コロンボのガソリンスタンド、燃料を買い求める人々(Eranga Jayawardena/AP通信)

スリランカ政府は29日、インフレに対処する取り組みのひとつとして、国内で販売する燃料価格を引き下げると発表した。

大統領府の報道官は声明で、「29日の深夜からディーゼルを含む様々な種類の燃料を8~26%値下げする」と明らかにした。

この措置は国際通貨基金(IMF)との協定に沿ったものである。IMFは先週、スリランカ向け救済プログラム、4年29億ドルを承認した

スリランカは昨年、返済期限を迎える対外債務約70億ドルの返済を停止し、デフォルトに陥った。対外債務は510億ドルを超え、そのうち280億ドルは2027年までに返済しなければならない。

持続不可能な債務、コロナの大流行による観光業の低迷、ロシアのウクライナ侵攻による燃料価格高騰などの影響により、食品、医薬品、燃料、その他の生活必需品などが圧倒的に不足している。

一方、石油業界の労組は現在、米中豪の企業3社に国内のガソリンスタンドを運営するライセンスを与えるという政府の決定に反対し、ストを起こすと警告している。

労組は国営セイロン石油公社(CPC)を部分的に民営化する計画に強く反対している。CPCは国内のガソスタをほぼ独占的に運営している。

首都コロンボを含む都市部ではガソスタ・ストが現実になるという懸念が高まり、各地で給油渋滞が発生した。

大統領府の報道官はウィクラマシンハ(Ranil Wickremesinghe)大統領の声明を引用し、「関係機関と軍はストで混乱が生じた際の準備を進めており、影響は限定的なものになる」と述べた。

地元メディアによると、多くのガソスタは4月の月次改定で燃料価格が引き下げられることをある程度見越していたが、29日の値下げは想定外で、燃料の追加発注が間に合わず、需要に対応できていないという。

政府は外貨準備高を増やし、対外債務の支払いを再開するための歳出削減計画を推し進めている。セイロンの民営化もそのひとつだ。

一部の野党や労組は国有資源・財産の売却は国益を損なう恐れがあるとして、この案に反対している。

中国を含むスリランカの債権者はIMFによる救済および債務再編に合意している。

ウィクラマシンハ氏はIMFの救済プログラムを失えば「2029年まで毎年60~70億ドルの債務処理を強いられることになる」と警告している。

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