◎ウィクラマシンハ大統領は先月、暴動を抑えるために非常事態を宣言した。
2022年8月9日/スリランカ、首都コロンボ、非常事態宣言に抗議するデモ(Eranga Jayawardena/AP通信)

スリランカの首都コロンボで9日、政府の非常事態宣言に抗議するデモ行進が行われ、数百人が参加した。

ィクラマシンハ(Ranil Wickremesinghe)大統領は先月、暴動を抑えるために非常事態を宣言し、大統領府周辺で寝泊まりしていたデモ隊キャンプを解体し、警察に暴力を振るった抗議者を逮捕した。

労働組合と宗教団体で構成されるデモ隊はコロンボの独立広場まで行進し、政府に対し、▽非常事態宣言の解除
▽抗議デモの取り締まり中止▽議会の即時解散▽困窮世帯への支援などを要求を出した。

同国の抗議デモはラジャパクサ(Gotabaya Rajapaksa)前大統領のシンガポール逃亡と大統領府占領で最高潮に達した。弟のマヒンダ・ラジャパクサ(Mahinda Rajapaksa)前首相は5月に、他の家族4人も閣僚を辞任している。

デモ隊はラジャパクサ一族の不作為がスリランカを破滅に追いやったと非難している。

スリランカは現在、隣国インドの信用枠で何とか食いつないでいるとみられる。政府は今年返済期限を迎える対外債務70億ドルの返済を停止し、デフォルトに陥った。

国の信用は外貨準備の枯渇と債務不履行で失墜し、信用取引で燃料を販売してくれる取引先は激減した。政府は石油貯蔵施設が空になりかけているとして、燃料の一般販売を停止している。

国民は調理用ガス、ガソリン、食料、その他日用品の入手に苦労しており、その影響は貧困層から中産階級に拡大した。

デモ隊はラジャパクサ氏とつながりの深いィクラマシンハ氏の大統領就任に不満を持っている。

行進に参加した男性はAP通信の取材に対し、「ウィクラマシンハはラジャパクサ家を保護するつもりだ」と語った。「ラジャパクサ家に全責任を負わせるべきです。うやむやにすることは許されません」

いくつかのデモグループはウィクラマシンハ氏に退陣を要求する大規模集会を企画したが、人が集まらず、規模音の縮小を余儀なくされた。これらのグループは▽臨時政府の発足▽議会の即時解散▽選挙を求めている。

しかし、市民の大半は国際通貨基金(IMF)との救済交渉を主導してきたウィクラマシンハ氏にチャンスを与えるべきと考えているように見える。

ウィクラマシンハ氏は9日、陸軍本部を訪問し、先月の暴動から国会を守った兵士に謝意を示した。デモ隊は国会に押し入ろうとしたが軍に押し返された。

ウィクラマシンハ氏は訓示で、「あの時、国会を失っていたら、取り返しのつかないことになっていた」と語った。「国会占領は民主主義の崩壊を意味します。今、私たちは信頼を取り戻すための取り組みを進めています」

政府とIMFの救済交渉は暴動の影響で8月から9月に延期されている。

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