スリランカは対外債務の処理に苦労している。
2022年5月6日/スリランカ、首都コロンボの大統領府近く、ラジャパクサ大統領の辞任を求めるデモ(Ishara Shara S. Kodikara/AFP通信)

スリランカの中央銀行は19日、同国は債務不履行に陥っていると発表した。

スリランカは絶望的な経済危機に直面しており、500億ドルにのぼる対外債務のうち70億ドル近くを今年中に返済しなければならない。しかし、外貨準備は底をつきかけている。

ラジャパクサ(Gotabaya Rajapaksa)大統領は国際機関からの融資が決まれば国債の利払いを行うと発表していたため、デフォルトは時間の問題だった。

世界最大の格付け会社は19日、スリランカは未払い利息7800万ドルを猶予期間内に支払わず、債務不履行に陥ったと宣言した。

債務不履行に陥ると、外国人投資家を失い、国の信用を失墜させ、国際市場で資金を借りことが難しくなり、その国の通貨と経済に対する信頼を大きく損なうことになる。

中央銀行総裁は19日の記者会見で「債務不履行に陥ったのか」という質問に対し、「我々の立場は非常に明確です。融資を得られるまで利払いはできません」と説明した。

スリランカを20年近く率いてきたラジャパクサ大統領とラジャパクサ(Mahinda Rajapaksa)前首相は「無謀な減税」「外貨を獲得できない無駄な施設への投資」「意味不明な政策」、そして中国の「債務トラップ」に見事に引っ掛かり、主要な港湾インフラを中国に引き渡し、国を借金漬けにした。

外貨を使い切った結果、政府は輸入品の支払うことができなくなり、食料や燃料を含むあらゆる物資が不足し、都市の食料品店やガソリンスタンドには連日長蛇の列ができている。

ラジャパクサ大統領の辞任を求める抗議デモはここ数週間で激しくなり、何度か暴動に発展した。

政府は国際通貨基金(IMF)と協議を行っているが、先行きは不透明な情勢である。今回の債務不履行で、債権者と債務の整理について交渉する必要も出てきた。

スリランカ政府は以前、年内に必要な資金を40億ドルと見積もっていた。

先週就任したウィクラマシンハ(Ranil Wickremesinghe)首相は19日、インフレが加速する可能性があると懸念を表明した。「現在のインフレ率は30%前後ですが、今後数カ月で40%に上昇する可能性があります...」

スリランカの主要貸出金利は14.5%、預金金利は13.5%に据え置かれている。

格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは19日の声明で、スリランカが初めてデフォルトに陥ったと述べた。

ムーディーズは、「スリランカはIMFとの救済交渉で合意に達することができると期待している」と希望を表明した。

フィッチ・レーティングスも利払いの猶予期間が切れた後、スリランカの評価を制限的デフォルトに引き下げた。

S&Pグローバル・レーティングスはまだ声明を発表していないが、同様の見解を示すものと思われる。

信用格付けは、投資家が国債を含む金融商品を購入する際に直面するリスクを分かりやすく示してくれる。

S&Pとフィッチは先月、「スリランカは債務不履行に陥ろうとしている」と警告していた。

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