スリランカは対外債務の処理に苦労している。
2022年4月3日/スリランカ、首都コロンボの抗議デモ(ロイター通信)

スリランカ政府の閣僚は3日、過去数十年で最悪の経済危機に抗議するデモ隊が警察の弾圧に直面したことなどを受け、一斉に辞任した。

地元メディアによると、26人の閣僚全員が辞表を提出したが、マヒンダ・ラージャパクサ首相と弟のラージャパクサ大統領は辞任を拒否したという。

ラージャパクサ大統領は2日、抗議デモが全国に拡大することを恐れ、前日の非常事態宣言に加えて夜間外出禁止令を発令した。

しかし、一部のデモ隊は大統領の命令を却下し、夜間もデモを継続したと伝えられている。

政府が外貨を獲得できないプロジェクトに数十億ドルを費やした結果、国民は過去に類を見ない経済危機に直面した。

同国は今年、対外債務を70億ドル近く処理する予定だが、外貨準備は3月中頃時点で4億ドルを下回ったと報告されている。

燃料の輸入は外貨不足で滞り、電力会社は発電できず、ガス会社は機能不全に陥り、停電が常態化し、食料、医薬品、灯油を含む日用品の価格は急騰したのち、スーパーの棚は空になった。

デモ隊は政府の怠慢に怒りを爆発させ、ラージャパクサ大統領の豪華な私邸近くで警察に石を投げつけた。

グナワルダナ教育相は3日、記者団に対し、閣僚26人全員が首相に辞表を提出したと明らかにした。

マヒンダ・ラージャパクサ首相の実子であるナマル氏(スポーツ相)も辞任したひとりで、「辞任が国の安定を確立するために役立つことを願っている」とツイートした。

夜間外出禁止令は4日の午前6時まで維持される予定である。

市民は当局の書面による許可がない限り、公道、公園、公共施設を含むあらゆる施設への立ち入りを禁じられ、ソーシャルメディアへのアクセスも一時的にブロックされた。

首都コロンボで3日に行われた抗議デモには数百人の怒れる市民が参加し、アサルトライフルを持った兵士に立ち向かった。地元メディアによると、デモ隊は兵士とにらみ合ったのち、平和的に解散したという。

野党は政府のSNSブロックに激しく反発し、ラージャパクサ大統領を含む与党関係者全員に辞任を求めている。

デモ行進に参加した野党のシルバ議員はAFP通信の取材に対し、「ラージャパクサは独裁的な支配が維持できなくなったことを認識すべき」と述べた。

別の野党議員は、「軍事独裁政権を許すわけにはいかない」と政府を非難した。

ラージャパクサ大統領と首相は選挙で選出されたが、一部の専門家はラージャパクサ家が権力をほぼ掌握したことに懸念を表明している。大統領と首相は兄弟、財務省のバジル氏、灌漑(かんがい)相のチャマル氏、そしてスポーツ相のナマル氏は皆ラージャパクサ家である。

中部州の都市キャンディでは数百人の学生が大学近くでデモ行進を行い、警察の催涙ガス弾に直面した。負傷者の有無は明らかにされていない。

首都コロンボのラージャパクサ邸近くで先月末に行われた抗議デモは平和的に始まったが、地元メディアによると、警察が放水砲と催涙ガス弾を使用し、一部のデモ参加者を殴ったことで暴動に発展した。

デモ隊は警察に石を投げつけ、軍のバスを石打ちにし、火を放ったのち、再び警察に石を投げつけた。警察によると、警察官少なくとも20人が負傷し、暴動に関与した54人を逮捕したという。

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