◎下院は動議を賛成86ー反対50で可決した。
2022年11月30日/オーストラリア、首都キャンベラの議会議事堂、下院の問責決議に反撃するモリソン前首相(Mick Tsikas/AAP)

オーストラリアの下院議会は30日、モリソン(Scott Morrison)前首相(自由党)の問責決議案を賛成多数で可決した。

モリソン氏は首相在任中に自身の権限を秘密裏に強化したとして非難されている。

下院は動議を賛成86ー反対50で可決した。

問責決議は議会が正式に議員の政治的責任を問うものであり、不信任や解任決議のような強制力はない。

AUSの首相経験者が問責を受けたのは初めて。

モリソン氏はいくつかの省庁の権限を自身に付与したことを認め、反対派による問責を「報復」と呼んだ。

モリソン氏は今年8月、議会選で政権を失うまでの2年間、保健、財務、内務、資源の「共同大臣」になっていたことが明らかになった。

ほとんどの閣僚はモリソン氏が自分と同じ権限を持っていることを知らなかったとみられる。

モリソン氏は共同大臣システムについて、「コロナ禍の異常事態に対処する取り組みのひとつであり、権力を手中に収めたという反対派の告発はひどすぎる」と反論している。

調査の結果、モリソン氏の共同大臣就任は合法であることが明らかになった。

しかし、モリソン氏は自身に権力を集中させ、民主主義を弱体化させたと厳しく非難された。

さらにモリソン氏の就任の大半はコロナとは関係ないことも明らかになった。

アルバニージー政権は共同大臣システムを禁じる法律を施行すると約束している。

アルバニージー(Anthony Albanese)首相は30日の議会演説で、「国会には前任者の行動を非難する義務がある」と語った。「権力掌握はオーストラリアを民主主義から遠ざける滑り台のようなものです!」

またアルバニージー氏は「議会の機能は損なわれ、民主主義が危機にさらされた」とモリソン氏を非難した。

モリソン氏は問責に反撃する一方、「今にして思えば自分の決定は不必要であり、検討不足だった」と述べた。

しかし、モリソン氏は謝罪を拒否し、「問責は政治的脅迫と報復である」と反論した。

自由党のアーチャー(Bridget Archer)議員はモリソン氏の説明を受け入れず、問責を支持すると表明した。

知らぬ間にモリソン氏と権限を共有していたアンドリュース(Kevin Andrews)前内相は棄権した。

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