◎2017年の弾圧で殺害されたロヒンギャは1万3000人と推定され、少なくとも200の村が焼き払われ、100万人以上が国外に逃亡した。
2022年6月19日/バングラデシュのロヒンギャ難民キャンプで開催された抗議デモ(Tanbir Miraj/AFP通信/Getty Images)

バングラデシュ南東部コックスバザール地区のロヒンギャ難民キャンプで19日、ミャンマーへの帰還を求める抗議デモが行われ、数万人が参加した。

バングラデシュ政府は2019年8月の抗議デモ以来、キャンプでの集会を禁じていたが、「世界難民の日(6月20日)」に先立ってデモを行いたいという団体の要請を許可した。

現地メディアによると、デモには23のキャンプや人道団体などが参加したという。

デモ主催者のひとりは「私たちはミャンマーに帰りたい」と訴えた。「もうウンザリです。家に帰りましょう!」

警察当局によると、子供や女性を含む数万人がデモに参加し、ミャンマーの軍事政権に抗議するプラカードや旗を掲げて抗議したという。

ミャンマーで家族を失ったという女性はAP通信の取材に対し、「バングラデシュの支援に感謝している」と語った。「感謝していますが、私たちは祖国に帰りたいのです...」

バングラ政府は難民の帰還に向けた取り組みを進めているが、ミャンマー軍がイスラム系少数民族の安全を保証しない限り帰還は難しく、これまでの交渉はすべて失敗に終わっている。

国連や国際NGOの調査によると、2017年の弾圧で殺害されたロヒンギャは1万3000人と推定され、少なくとも200の村が焼き払われ、100万人以上が国外に逃亡した。

バングラデシュのコックスバザール地区には89万人以上のロヒンギャ難民が避難しており、世界最大の難民キャンプを形成している。

タイには約9万2千人、インドには2万1千人、マレーシアにも10万2千人のロヒンギャ難民が避難しており、さらにミャンマー国内に残っている避難民は57万6000人と推定されている。

デモに参加した人道団体の責任者はアルジャジーラの取材に対し、「ロヒンギャ難民は世界難民の日(6月20日)に合わせて自分たちの窮状を世界に発信し、ロヒンギャを忘れないでほしいと訴えたかった」と語った。

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は19日の声明で、「バングラデシュのロヒンギャ難民はミャンマーに戻ることだけを望んでいる」と述べ、国際社会にさらなる支援と協力を呼びかけた。

またUNHCRは、難民が帰還できるかどうかはミャンマー軍にかかっていると強調した。「ロヒンギャ難民は安全かつ尊厳をもって、自発的に帰還することを望んでいます。これは、彼らの権利が確保されたことを意味します。しかし、ミャンマーの状況はまだ流動的で、安全で持続可能な帰還を達成するための条件は確保されていない」

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