◎タール火山はフィリピンで最も活発な火山のひとつで、標高は311m、バタンガス州のタール湖内に位置する。
2022年3月26日/フィリピン、ルソン島のタール火山(Reynante Olitan De Villa/AP通信)

フィリピン当局は26日、ルソン島のタール火山が噴火したことを受け、周辺の村に避難勧告を出し、警戒レベルを引き上げた。

フィリピン火山地震研究所によると、地中から吹き上げてきたマグマが火口付近で水と接触したことで水蒸気爆発が発生し、その後小規模な噴火と火山性地震を確認したという。

研究所は声明の中で、タール火山の警戒レベル(5段階)を3に引き上げたと発表した。

タール火山はフィリピンで最も活発な火山のひとつで、標高は311m、バタンガス州のタール湖内に位置する。

同州の火口から7km圏内にある村の住民は大規模噴火と火山津波が発生する可能性があるという警告を受け、避難を開始した。

災害対策本部によると、26日正午時点で1,200人以上が緊急避難所に避難したという。

火口の西に位置するローレルのアモ市長はAP通信の取材に対し、「噴煙は思ったほど上がらなかったが、噴火時に揺れを感じた」と述べた。噴煙の高さは約1,500mと伝えられている。

またアモ市長は市内の住民最大8,000人に避難所を提供する準備を進めていると明らかにした。

地元メディアは火山の様子をライブ映像で伝えている。最初の噴火を目撃した住民は、「小さな揺れを感じた後、水蒸気が上がった」と述べた。

フィリピン火山学研究所のソリダム氏は地元メディアの取材に対し、「少なくとも今後数日は警戒態勢を維持する必要がある」と述べた。

ソリダム氏によると、火口周辺ではこの2週間、火山性地震が増加傾向にあったという。監視活動は火山地震研究所が行っている。

政府は予防措置として、タール湖への立ち入りを禁じ、周辺住民に降灰に備えるよう警告している。また政府は航空各社とメディアに、ルソン島周辺を飛行する際は火口周辺に近づかないよう警告した。

タール火山の直近の大規模噴火は2020年1月に発生した。この時は数十万人が避難を余儀なくされ、火山灰はマニラ首都圏の中心部に到達し、空の便にも影響が出た。

フィリピンの火山はすべて環太平洋火山帯に沿って形成されている。1991年に発生したピナツボ火山の噴火では火砕流と火山泥流が発生し、少なくとも847人が死亡、数千の家屋が被害を受け、100万人以上が被災した。

タール火山

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