◎フィリピン政府はイスラム過激派組織「アブサヤフ」をテロ組織に指定している。
2017年6月17日/フィリピン、南部スルー州郊外、フィリピン軍の兵士(Getty Images/AFP通信)

フィリピンの警察当局は17日、カナダ人観光客2人とドイツ人1人を斬首し指名手配されていたイスラム過激派組織「アブサヤフ(Abu Sayyaf)」の戦闘員2人が自首したと発表した。

南部スルー州警察の報道官によると、2人は市内の軍事基地に投降したという。

軍は記者団に2人を公開し、その後警察に引き渡した。

スルー州警察の報道官によると、2人はテロ法違反や殺人を含む複数の容疑で起訴される予定だという。アブサヤフは観光客3人を誘拐したのち当局に身代金を要求したが、受け入れられなかったため首をはねたとされる。

報道官によると、2人は別の誘拐事件や爆弾テロにも関与したという。

カナダ人観光客のホール(Robert Hall)氏とリズデル(John Ridsdel)氏は、2015年9月にノルウェー人とフィリピン人と共に、主要都市ダバオに近いマリーナに停泊していたヨット上で拉致された。

2人は身代金の支払い期限が過ぎてから数カ月後、首をはねられたとみられる。

アブサヤフが公開したビデオにはイスラム国(ISIS)グループのものと思われる黒旗の前で被害者が斬首される様子が映っていた。ノルウェー人とフィリピン人は解放されている。

カナダのトルドー(Justin Trudeau)首相は当時、「身代金をテロリストに支払えば、より多くのカナダ人の命を危険にさらす」とし、支払いを拒否したと認めた。

2人の誘拐と殺人に関与した別の容疑者はフィリピン軍との戦闘ですでに死亡している。

警察の報道官は、「逮捕した2人は2017年にスルー州で起きたドイツ人の斬首事件にも関与している」と説明した。

アブサヤフはドイツの船乗りであるカントナー(Jurgen Gustav Kantner)氏と女性を拘束し、まもなく女性を殺害。その後、スルー州の沖合でカントナー氏を斬首した。

フィリピンと米国はアブサヤフをテロ組織に指定している。

このグループは1990年代初頭にフィリピン南部で活動していたイスラム原理主義組織から派生したとされる。

地元メディアによると、アブサヤフは数十年にわたる軍の取り締まりでかなり弱体化し、現在の戦闘員数は200人以下と推定されている。

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