◎彭帥 選手は昨年11月、中国版ツイッターWeiboの公式アカウントに共産党の最高幹部から性的暴行を受けたと投稿した。
北京2022冬季五輪を主催する国際オリンピック委員会(IOC)の会長は、共産党の最高幹部に性的暴行を受けたと告発し行方不明になった彭帥(ポン・シュアイ)選手を共産党の夕食会に招待する予定である。
中国のテニススターで夏季五輪に3度出場した彭帥 選手は昨年11月、共産党の政治局常任委員会のメンバー兼元副首相である張高麗(ちょうこうれい)氏に7年前に性的暴行を受け、3年前にはテニスの試合後にセックスを強要されたと告白し、世界の注目を集めた。
IOCのトーマス・バッハ会長は行方不明になった彭帥 選手とオンラインで対話した数少ない人物のひとりであり、11月の声明で「彭帥はうまくやっており、元気だ」と述べ、西側諸国の不安をあおった。
この時バッハ会長は、彭帥 選手を北京2022の夕食会に招待すると約束していた。
オンライン対話の音声データは公開されておらず、一部のIOC委員は不満と懸念を表明している。最古参のディック・パウンド委員はCNNニュースのインタビューの中で、「バッハは中国のスポークスマンになった可能性がある」と述べていた。
女子テニス協会(WTA)、多くのテニス選手、人権活動家たちはバッハ会長の発言にイラつき、一部の活動家は「IOCは五輪を開催し収益を確保するために共産党の隠ぺい工作に加担した」と非難した。
バッハ会長は北京2022の開幕に先立ち、2月1日の声明で彭帥失踪事件の懸念を払しょくし、彭帥 選手を約束通り夕食会に招待する予定であると明言した。「直接会うことができれば、彼女の自由と精神状態をよりよく理解することができるでしょう...」
バッハ会長によると、彭帥 選手とIOC職員は今週電話で夕食会のことなどについて話し合ったという。
共産党は開会式に出席する各国の高官と会談し、夕食会を開催すると信じられているが、詳細は一切明らかにされていない。習近平 国家主席はロシアのウラジーミル・プーチン大統領と2年ぶりの対面首脳会談を行う予定である。
WTAのグランドスラムを2度制している彭帥 選手は共産党幹部に性的暴行を受けたとソーシャルメディアに投稿し、張高麗(ちょうこうれい)氏を非難した。この投稿および中国国内の彭帥 選手に関連する投稿はすべて削除されている。
その後、彭帥 選手は公の場から姿を消したように見えたが、中国国内で開催されたテニスイベントに参加し、シンガポールの日刊紙のインタビューを受けたと信じられている。
西側のソーシャルメディアでは、「Where Is Peng Shuai?(彭帥はどこ?)」というハッシュタグがトレンド入りし、テニススターのセリーナ・ウィリアムズ選手、マルチナ・ナブラチロワ氏、ロジャー・フェデラー選手、大坂なおみ選手などが支持を表明した。
先月の全豪オープンでは何十人ものファンがこのスローガンの入ったTシャツを着用し、話題を集めた。
バッハ会長は2月3日の記者会見で、「もし彭帥 選手が疑惑について中国の公式調査を望むのであれば、IOCは彼女を支持するが、決断は彼女自身が下さなければならない」と述べ、西側諸国の要求に基づき調査を行うべきではないと強調した。「彼女の発言、彼女の状況、彼女がどう生きたいかに耳を傾けることが重要です...」