◎中露寄りのカーン氏は昨年4月に不信任決議で弾劾されて以来、政府・司法・軍を批判し、全国各地で集会を開催している。
パキスタンのイムラン・カーン前首相(Getty Images)

パキスタン地検は19日、カーン(Imran Khan)前首相を含む前政権の閣僚や関係者などをテロに関与した容疑などで告発した。

カーン氏の支持者は前日、首都イスラマバードの地方裁判所近くで機動隊と衝突。デモ隊は火炎瓶や石を投げつけ、機動隊は催涙ガスで応戦した。

この乱闘で警察官50人以上が負傷し、検問所、パトカー、ゴミ箱や商店が放火された。警察は暴動に関与した59人を逮捕したとしている。

中露寄りのカーン氏は昨年4月に不信任決議で弾劾されて以来、政府・司法・軍を批判し、全国各地で集会を開催している。

カーン氏は不信任決議に米国が関与していると主張。「逮捕状はシャリフ(Shahbaz Sharif)首相の嫌がらせのひとつ」と非難している。

カーン氏は▽在任中に外国高官から受け取った贈答品の売却益を正しく申告しなかった罪▽集会で判事を口汚く罵り、脅迫した罪▽資産隠しなどの疑いに関する公聴会を欠席した法廷侮辱罪に問われているが、一度も法廷に姿を見せていない。

地検はイスラマバード地裁に提出した書簡で、カーン氏と前政権の閣僚、元国会議長や議員数人、カーン氏の支持者らをテロに関与した疑いで告発した。罪状はテロ攻撃、公務執行妨害、警察官への攻撃、脅迫など。

東部の都市ラホールでも18日、カーン氏の自宅近くで再び乱闘が発生した。支持者らは先週にも機動隊とにらみ合いになり、正面衝突した。

機動隊はカーン氏の自宅周辺に防衛線を敷いたデモ隊に突撃し、61人を逮捕。火炎瓶、銃器、弾薬などを押収した。

この時カーン氏はイスラマバードに移動しており、自宅にはいなかった。同氏は結局出廷しなかったため、地裁は審理を3月30日に延期した。

カーン氏は19日に公開した動画の中で警察を非難した。「シャリフ警察は私と支持者たちに催涙ガス弾を撃ち込んだのです。許せない!」

またカーン氏は「警察は私を殺すか刑務所に入れるつもりだ」と主張し、ラホールの自宅前で支持者を攻撃した機動隊を「恥さらし」と糾弾した。

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