◎南西部の分離独立を掲げる「バルチスタン解放軍(BLA)」が犯行声明を出した。
2022年4月26日/パキスタン、南部カラチの大学構内(Fareed Khan/AP通信)

パキスタン政府は26日、南部カラチのカラチ大学系列の中国文化教育機関(孔子学院)で自爆テロが発生し、中国人3人とパキスタン人1人が死亡したと発表した。

警察によると、南西部の分離独立を掲げる「バルチスタン解放軍(BLA)」が犯行声明を出したという。

カラチ大学の報道官はメディアの取材に対し、「テロリストはバンの近くで自爆した」と説明した。報道官によると、車内にいた中国人1人と大学の警備員が負傷し病院に搬送されたという。

カラチ警察の責任者は「ブルカ(イスラム教徒の女性が着用するヴェール)を着た人物がバンに近づき、その直後、自爆した」と説明した。

死亡した中国人は中国語の授業を担当する講師2人と院長と伝えられている。

在パキスタン中国大使館は26日、中国人3人の死亡を確認し、講師1人が負傷したと発表した。

大使館はパキスタン政府に、負傷者の治療に全力を尽くし、徹底的な調査を行い、関与した者を厳しく罰するようを求めた。

米国領事館もテロ攻撃を非難し、犠牲者に哀悼の意を表した。

パキスタンの外務省は声明で事件を非難し、徹底調査を約束した。「この卑怯な事件は友人の中国とパキスタンに対する直接攻撃であり、当局は事件に関与した者を逮捕し、裁判にかけるための捜査をすでに開始しています...」

シャリフ首相は事件を「凶悪」と呼び、「犯人は必ず裁かれる」と非難した。シャリフ首相は内相と共に中国大使館を訪れ、哀悼の意を伝えたという。

バルチスタン州の分離独立を画策する過激派組織BLAは、以前にも中国人を標的にしたことがある。

BLAは声明で、同グループ初の女性自爆犯が攻撃を完遂したと説明している。

バルチスタン州はパキスタン最大の面積を持つ天然資源に恵まれた州である。州政府はより多くの自治と天然資源収入を求め、連邦政府と対立している。

パキスタン・タリバン(アフガンのタリバンとは別もの)も中国人を狙ったことがある。昨年7月に北西部カイバル・パクトゥンクワ州で中国人9人が死亡したバス爆破事件はこのグループの犯行であった。

パキスタンでは数千人の中国人労働者が住み込みで働いており、その多くは、南アジアと中央アジアを中国の首都北京と結ぶ「一帯一路」に携わっている。

バルチスタン州のグワダル港と中国北西部の新疆ウイグル自治区を結ぶ道路は、中国・パキスタン経済回廊と呼ばれるものの一部である。このプロジェクトには、多くのインフラ開発と電力網強化が含まれている。

2022年4月26日/パキスタン、南部カラチの大学構内、自爆テロで黒焦げになったバン(Fareed Khan/AP通信)
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