◎ARYテレビは南部の港湾都市カラチに本拠を置き、パキスタンで最も人気ある民放テレビ局のひとつである。
2022年8月12日/パキスタン、首都イスラマバード、民放ARYテレビの職員(AP通信)

パキスタン当局は12日、反乱を扇動したとみなされた民放ARYテレビの放送許可を取り消した。

ARYテレビは南部の港湾都市カラチに本拠を置き、パキスタンで最も人気ある民放テレビ局のひとつである。

ARYテレビは8日、今年4月の不信任決議で追放されたカーン(Imran Khan)前首相の補佐官であるギル(Shahbaz Gill)氏のインタビューを放送し、政府を激怒させた。

ギル氏はインタビューの中でパキスタン軍の兵士に「シャリフ(Shehbaz Sharif)政権の違法な命令に従ってはならない」と述べた。

政府はこの発言を反逆罪とみなし、ギル氏を逮捕した。有罪が確定すれば、死刑に処される可能性がある。

このインタビューに関与したディレクターも拘束されたが、権利団体や野党が猛反発し、11日に釈放された。

ARYテレビは声明で、ギル氏の発言と局は何の関係もなく、シャリフ首相に対するいかなるキャンペーンにも一切関与していないと発表した。

しかし、メディア規制当局はARYテレビの放送許可を取り消し、「同局は嬉々として反逆者の扇動メッセージを全国ネットで放送した」と非難した。

野党、ジャーナリスト、ARYテレビは12日、この決定を非難した。

ARYテレビの広報担当はAP通信の取材に対し、「従業員4000人が仕事を失うことになる」と語った。また広報担当はシャリフ氏に決定を見直すよう懇願した。

カーン氏は1996年にパキスタン正義運動(PTI)を立ち上げ、2018年に首相に就任した。しかし、国の経済を立て直すことはできず、支持を失い、4月の不信任決議で退陣した。

中露との関係を重視するカーン氏は不信任決議を「米国の陰謀」と非難したが、米国はこれを強く否定している。

またカーン氏は陸軍大将が米国と結託して自分を追放するための工作に関与したと主張したが、陸軍と米国はこの主張も否定している。

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