◎国連の一部の専門家はミャンマーを内戦状態とみなしている。
2021年2月8日/ミャンマー、最大都市ヤンゴン、軍事政権に反対するデモ(Getty Images/AFP通信)

国連のミャンマー特使であるヘイザー(Noeleen Heyzer)氏は5日、昨年2月の軍事クーデター以来、拘束されているアウンサンスーチー(Aung San Suu Kyi)氏の健康状態に深刻な懸念を表明した。

ヘイザー氏はシンガポールのイベントで講演し、スーチー氏が複数の罪に問われ有罪判決を受けていることに言及した。

軍事政権は汚職やコロナ規則違反などでスーチー氏を告発しているが、スーチー氏はこれをすべて否定している。西側諸国はスーチー氏を含む文民指導者や市民の即時解放を求め、軍に経済制裁を科している。

ヘイザー氏は軍の指導者であるフライン(Min Aung Hlaing)司令官と先月会談し、スーチー氏に関する懸念を直接伝えたと明らかにした。

国連の一部の専門家はミャンマーを内戦状態とみなしている。

軍事クーデターは全国規模の抗議デモにつながり、軍はこれを武力で抑え込んだ。

一部の抗議者は武器を取り、軍は武装したデモ隊をテロリストと呼ぶようになった。軍は迫撃砲や空爆で少数民族の村を破壊している。

全国のデモや戦闘を監視している人権監視団体「ビルマ政治囚支援協会(AAPP)」によると、クーデター以来、民間人2200人以上が殺害され、数万人が負傷し、1万人以上が違法に収監されている。7月には軍に批判者な民主活動家4人が絞首刑に処されたことが明らかになった。

ヘイザー氏は講演の中で、「軍指導者との会談で、死刑執行の停止、拘禁されている子供の解放、人道援助の無制限かつ迅速な配布、空爆を含む暴力の即時停止、すべての政治犯の解放、スーチー氏との会談」を要請したと説明した。

またヘイザー氏は、「国連は軍事政権とフライン氏を一切認めていない」と強調した。

ミャンマー軍はロヒンギャ難民に対する大量虐殺でも告発されているが、バングラデシュなどに避難した100万人以上の未来は不確実である。

ヘイザー氏は軍事政権が5年前に弾圧したロヒンギャ難民や民主派勢力が立ち上げた国家統一政府(NUG)に関する誤ったデータを提示したと非難した。

またヘイザー氏は12歳以下の子供がひとり残らず釈放され、スーチー氏との会談が認められない限り、ミャンマーを訪問することはないと明言した。

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