◎独立賛成3.51%ー独立反対96.49%(開票率100%/投票率43.90% 速報値)
2021年12月12日/フランス領ニューカレドニア、首都ヌメアの投票所(Clotilde Richalet/AP通信)

12月12日、フランス領ニューカレドニアで3回目の独立住民投票が行われた。

ニューカレドニアの独立はインド太平洋地域の安全保障に大きな影響を与えると懸念されていたが、有権者はフランスにとどまることを選択した。

・賛成3.51%ー反対96.49%(開票率100%/投票率43.90% 速報値)

独立推進派はコロナ禍での投票に強く反対し、多くが投票をボイコットしたと伝えられている。一部の分離主義活動家は結果に落胆を表明した。

フランスのエマニュエル・マクロン大統領は結果を歓迎し、島の主権と地位に関する交渉を開始すると発表した。交渉とその後の移行手続きは2023年6月30日まで続く予定。その間にフランス国内でニューカレドニアの在り方を決める国民投票が行われる。

フランスは島に兵士約2,000人を派遣し、投票を注意深く監視した。監視団を派遣した国連と太平洋諸島フォーラムはまだ声明を発表していないが、投票は「おおむね公平」と判断されると見込まれている。

マクロン大統領は12日に放送されたテレビ演説の中で選挙結果を称賛し、独立推進派のボイコットに懸念を表明した。「ニューカレドニアはフランスにとどまりますが、島は分裂したままです。私は独立賛成に投票した人と投票をボイコットした人を含む、すべての住民を尊重します...」

またマクロン大統領は、コロナウイルスの影響による健康と経済危機に対処し、島の女性の権利を改善し、気候変動からニューカレドニアを守るための取り組みを進めると住民に約束した。

一方、1980年代の独立闘争を主導した分離主義者の息子であるジャン・フィリップ・チバウ氏はフランス公共放送のインタビューの中で、「私たちの戦いは終わらない」と述べた。「多くの住民が投票を強行したフランス政府に憤慨しています。私たちは次の世代のために独立を追求すると誓います」

独立推進派は2回目の住民投票からさらに票を伸ばすと予想されていたが、コロナの感染拡大で事態は一変した。島の経済を支える観光産業はコロナの影響でひどく疲弊しており、今フランスの傘から抜けたいと思う住民は少ないと予想されていた。

一部の独立推進派は、フランス政府が住民投票を強行し、投票前に独立に否定的な見方をした文書を公開したことで投票の中立性を侵害したと主張し、今後の交渉もボイコットすると表明した。

フランスと島の決定は、1998年に締結されたヌーメア協定に基づいている。協定は2014年から2018年の間および「2022年までに」独立住民投票を行う権利を保障している。

ニューカレドニアには南太平洋地域の主要な軍事基地のひとつであるフランス軍基地がある。フランス軍は今年9月にインド太平洋地域の新しい安全保障枠組みオーカス(AUKUS)を結んだ米豪とニュージーランド軍と協力してこの地域の海上監視、海上での捜索救助、機雷除去、違法漁業の取り締まりなどを行っている。

ニューカレドニア大学のキャロライン・グラベラット教授はAP通信の取材に対し、「ニューカレドニアの住民は米国と中国の新冷戦に大きな影響を与えるフランスを支持した」と述べた。

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