◎ラカイン州は内戦の中心地となっており、反体制派を支持するゲリラが優位に立っているものとみられる。
バングラデシュ、コックスバザールのロヒンギャ難民キャンプ(Getty Images/AFP通信)

ミャンマー軍政は5日、同軍が西部ラカイン州の集落に押し入り、住民少なくとも76人を虐殺したという反体制派の主張を否定した。

ミャンマー国営放送(MRTV)は軍政報道官の声明を引用し、「住民を虐殺したのはアラカン軍である」と報じているが、詳細は不明だ。

アラカン軍はラカイン族の軍事組織で、よく訓練され、ラカイン州内にある軍政の複数の基地に対し、半年ほど前から攻撃を続けている。

ラカイン州は内戦の中心地となっており、反体制派を支持するゲリラが優位に立っているものとみられる。

アラカン軍の報道官はAP通信に対し、「陸軍部隊とそれに協力する民兵は先週、ラカイン州郊外の集落に押し入り、家屋を焼き払い、住民少なくとも76人を処刑した」と語った。

しかし、APの電話取材に応じた目撃者は「集落を焼き払ったのはアラカン軍である」と述べている。

ラカイン州への渡航は制限されており、独立系メディアも取材に苦労している。

アラカン軍は2017年に起きたロヒンギャ虐殺・追放に関与したとされる。

MRTVによると、軍政の報道官はアラカン軍の主張を否定。「5月29日に虐殺が起きた集落に入り、アラカン軍の戦闘員20人を拘束した」という。

また報道官は「兵士から銃を奪おうとした民兵3人をその場で射殺したが、虐殺には関与していない」と主張した。

アラカン軍の報道官はAPに、「かつてロヒンギャも暮らしていた集落に陸軍部隊が押し入り、家屋を焼き払ったうえで、住民少なくとも76人を銃殺したり、焼き殺したりした」と語った。

アラカン軍、東部カレン州の少数民族ゲリラ「カレン民族同盟(KNU)」、チン州の反体制派「チン民族戦線(CNF)」などからなる民主派勢力は昨年10月、中国国境に近い北部で反攻を開始。複数の地域から国軍を追い出した。

民主派勢力の支配地域は拡大し続け、中国国境沿いの北東部の広い範囲を占領。投降した一部の兵士を取り込むことに成功した。

アラカン軍はラカイン州の主要都市ブティダウンを制圧。この町はバングラデシュと国境を接する交易の要衝であり、軍政の拠点が複数あるとされる。

KNUはタイ国境近くの要衝ミャワディを制圧。軍政の兵士数千人がタイに逃亡したり、KNUに寝返ったりした。

軍政を率いるフライン(Min Aung Hlaing)司令官は兵士の離反や逃亡が相次いでいることを受け、最近徴兵制を導入した。

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