◎軍政は3年前の政変以来、インターネットを何度も遮断し、民主派勢力やメディアによるやり取りを妨害してきた。
ミャンマー軍政が14日、インターネット上のやり取りや表現・報道の自由を抑圧する取り組みの一環として、VPN(仮想プライベートネットワーク)へのアクセスを遮断した。
独立系メディアなどによると、軍政は先月末、地方で勢いを増す民主派勢力の通信手段を断つため、VPN遮断の準備を始めたという。
西部ラカイン州の「アラカン軍」、東部カレン州の少数民族ゲリラ「カレン民族同盟(KNU)」、チン州の反体制派「チン民族戦線(CNF)」などからなる民主派勢力は昨年10月、中国国境に近い北部で反攻を開始。複数の地域から国軍を追い出した。
民主派勢力の支配地域は拡大し続け、中国国境沿いの北東部の広い範囲を占領。投降した一部の兵士を取り込むことに成功した。
アラカン軍はラカイン州の複数の都市を制圧。同州内にある軍政の基地に総攻撃を仕掛ける準備を進めているとみられる。
軍政は3年前の政変以来、インターネットを何度も遮断し、民主派勢力やメディアによるやり取りを妨害してきた。
報道によると、当局は不特定多数のVPNアプリケーションを無作為にチェックし、違法と認められた場合は使用者に罰金を科す予定。
米政府系機関が出資するラジオ・フリー・アジアは14日、中部エーヤワディー出身の約25人がVPNアプリを使用したとして、治安当局に逮捕されたと報じた。
戦闘が続く地方都市ではインターネットがつながりにくい状態となっており、軍政が意図的に遮断しているとみられる。
独立系メディアとNGOが先月公表したレポートによると、全国330町のうち90近くでインターネット、電話、あるいはその両方が使用できない状態になっている。
民主派勢力はフェイスブックやWhatsAppなどで情報を共有し、政変初期には抗議デモの場所などをやり取りしていた。
専門家によると、ゲリラを含む民主派勢力は主にフェイスブックとテレグラムで暗号化した情報をやり取りしているという。それには軍政を惑わせる偽情報も含まれており、取り締まりをより困難にしているようだ。