◎軍政はこの1年、中国国境沿いでゲリラの攻勢に圧倒され、発足以来最大の困難に直面している。
国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は15日、ミャンマーの軍事政権が2021年に政権を掌握して以来、反政権派ゲリラを攻撃する際、市民を巻き込むことを躊躇せず、無差別に空爆を行ってきたと明らかにした。
OHCHRミャンマー事務所は15日に公表した報告書の中で、「これは東部カレン州の人権団体が行った調査に基づいており、軍政は集団的懲罰として、民間人を巻き込みながら、反政権派がいるとされる町や集落を無差別に空爆してきた」と述べた。
軍政はこの1年、中国国境沿いでゲリラの攻勢に圧倒され、発足以来最大の困難に直面している。
これらのゲリラは民主派政治組織「挙国一致政府(NUG)」や人民防衛軍(PDF)と連携し、国土の半分以上を掌握。軍政に圧力をかけている。
国連や他の人権団体は以前にも、軍が無差別に爆弾を投下したり、作戦中に拘束した市民を大量に処刑したり、反政権派が拠点を置いた地域の集落を焼き払っていると報告していた。
ミャンマーの人権団体「政治犯支援協会(AAPP)」によると、今年1月から10月までの間に、全国で少なくとも540人の市民が空爆に巻き込まれて死亡したという。
カレン州の人権団体は少数民族ゲリラ「カレン民族同盟(KNU)」と軍が戦っている南東部の7地区で、集落、学校、医療施設に対する227回の空爆を確認したと報告している。
軍政を率いるフライン(Min Aung Hlaing)総司令官は先月、反政権派に和平交渉に応じるよう要請したが、NUGはこれを拒否。「民間人を虐殺している軍にその資格はない」と断じた。