◎ソーシャルメディアでニュースを発信するミャンマーナウは会葬者数名が逮捕され、死傷者が出たかどうかは分からないと報じた。
2021年3月28日/ミャンマー、ヤンゴン、炎上するバリケードと抗議者(AP通信)

ミャンマーの地元メディアによると、治安部隊は国軍記念日(3月27日)に殺害された学生の葬式を取り締まり、会葬者に発砲したという。

治安部隊は国軍記念日の「大量虐殺」で市民を少なくとも114人を殺害した。国内の逮捕者と死亡者を追跡する政治囚人支援協会(AAPP)などによると、治安部隊は殺害した一部の市民の遺体を回収しているため、正確な死者数を確認することは困難だという。

国連のミャンマー人権特別報告者、トム・アンドリュース氏は治安部隊の大量虐殺を非難したうえで、「国際社会は虐殺を止めるために十分なことをしていない」と主張した。

ソーシャルメディアでニュースを発信するミャンマーナウによると、治安部隊は27日に殺害されたテ・マウン・マウン氏の葬式を取り締まり、会葬者に発砲したという。マウン・マウン氏は全ビルマ学生連盟のメンバーだったと伝えられている。

ミャンマーナウは会葬者数名が逮捕され、死傷者が出たかどうかは分からないと報じた。

治安部隊はカチン州北部のバモーでも葬式を取り締まっている。ビルマ民主の声(DVB)は、27日に殺害された女性の葬式に出席した会葬者たちは、3本指の敬礼で女性と遺族に敬意を表していたと報じた。

DVBによると、葬式に乱入した治安部隊は女性の遺体を押収し、遺族に「事故で亡くなったという書類に署名しなければ遺体は軍で処理する」と脅迫したという。遺族が署名したかどうかは明らかにされていない。

最大都市ヤンゴンでは射殺された13歳の少年の葬式が取り締まりを受けた。治安部隊は会葬者を警棒で打ちのめしたと伝えられている。

2021年3月28日/ミャンマー、ヤンゴン、スリングショットを構える抗議者(AP通信)

国連のトム・アンドリュース氏は27日の声明で次のように述べた。「国際社会の非難や懸念の言葉はミャンマーの市民を守ってくれません。軍事政権は制裁に動じることなく大量虐殺を継続しています」

国産のアントニオ・グテーレス事務総長は声明で、「子供を含む市民の殺害にショックを受けています。軍事政権を最も厳しい言葉で非難します」と述べた。

ジェノサイド防止に関する国連特別顧問のアリス・ワイリム・ンデリトゥ氏と国連人権高等弁務官のミシェル・バチェレ氏も暴力の停止を呼びかけている。

しかし、国際社会はより強力な行動については言及せず、治安部隊は非難声明を無視して取り締まりを続けている。国連安全保障理事会は暴力を非難しているが、ミャンマー軍に対する武器の販売禁止などの制裁については一切言及していない

中国とロシアはミャンマーの主要な武器供給国であり、安保理の制裁決議にはほぼ確実に拒否権を行使する。アンドリュース氏は安保理が行動できない場合は緊急国際サミットを開催すべきと主張した。人権団体のアムネスティ・インターナショナルも強力な行動を躊躇する国際社会を批判している。

地元メディアによると、軍は東部カレン民族のゲリラ部隊と激しい戦闘を繰り広げており、28日に軍用機でゲリラの集落を空爆したという。現地で支援活動にあたっている人道救援機関の関係者は、空爆で住民約3,000人が隣国タイに避難したと述べた

カレン民族同盟はかつての軍事政権から自治権を獲得するために数十年に渡って戦闘を繰り広げてきた民族組織のひとつである。

各都市で抗議活動を行っている市民の指導者たちはゲリラ部隊の支援を求めている。地元メディアによると、カレン民族同盟を含む民族組織は、自分たちの土地に侵入した治安部隊から市民を守ると約束したという。

2021年3月28日/ミャンマー、ヤンゴン、治安部隊の様子を伺う抗議者たち(AP通信)
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