◎ヒューマン・ライツ・ウォッチの報告によると、実弾は女性の頭部に直撃し、胸部に外傷を負った別の抗議者も銃弾で負傷した可能性があるという。
◎ソーシャルメディアには銃撃や負傷者に関連する情報が出回っており、専門家は警察当局に対する暴力的な抗議や報復に発展しかねないと懸念を示した。
2021年2月10日 AP通信/ミャンマー、ヤンゴン

現地メディアによると、ミャンマーの軍事クーデターに反対する2月10日の抗議活動で19歳の女性が頭を撃たれ病院に搬送されたという。女性は首都ネピドーの抗議集会に参加していた。

ネピドーの警察は放水砲、ゴム弾、実弾(威嚇射撃)を使って抗議者を解散させようとした。

権利団体および現地メディアは、「女性は頭を撃たれ、倒れた」と報告した。

警察は昨日から武力を行使し始め、一部の抗議者が重傷を負ったと伝えられていたが、これまでのところ死者は確認されていない。

最高指導者に就任したミン・アウン・フライン司令官は、最大の都市ヤンゴンと第二の都市マンダレーの住民に夜間外出禁止令(20:00~04:00)と集会禁止令(5人以上の集まりを禁止)を課したが、住民は脅迫に屈することなく数万人規模の抗議集会を継続している。

ミャンマーの国連常駐コーディネーター、オラ・アルムグレン氏は、「集会参加者に対する不均衡な力の使用は容認できません」とツイートした。

ネピドーの警察は撤退を拒否した抗議者に放水砲とゴム弾を撃ち込んだ。

伝えられるところによると、警察は群衆にゴム弾を撃ち込む前に実弾を上空に向けて発射したという。

ネピドー病院の医療関係者は英BBCビルマの取材に対し、「女性は深刻な頭部外傷を負い、別の抗議者は胸部外傷を負っている」と述べた。女性は現在集中治療室で手当てを受けているという。

権利団体と現地メディアも、女性は警察に頭を撃たれたと繰り返し報じた。

ヒューマン・ライツ・ウォッチの報告によると、実弾は女性の頭部に直撃し、胸部に外傷を負った別の抗議者も銃弾で負傷した可能性があるという。

ミャンマーのFortify Rightsは、「女性は脳死した」という現場の医師のコメントを引用した。

ソーシャルメディアには銃撃や負傷者に関連する情報が出回っており、専門家は警察当局に対する暴力的な抗議や報復に発展しかねないと懸念を示した。

9日の夜、軍はヤンゴンにある国民民主連盟(NLD)の全国事務所を襲撃した。NLDのスポークスマンはフェイスブックに、「軍は文書とハードウェアを押収した」と投稿した。

抗議者たちは民主主義の回復と2月1日に拘束されたアウンサンスーチー氏および政府関係者の解放を求めている。

ミャンマーは様々な困難を乗り越え、2011年に当時の軍事政権を打ち負かした。1988年の「8888蜂起」では数百万人が抗議し、数千から数万人が殺害されたと伝えられている。

ミン・アウン・フライン司令官は8日に放送されたテレビ演説の中で、「抗議者は国の安定と民主主義を脅かしている」と警告した。

ミン・アウン・フライン司令官:
「規律がなければ民主主義は崩壊する可能性がある。私たちは、国家の安定と法を犯す行為を厳しく取り締まるだろう」

ミン・アウン・フライン司令官は声明の中で外国人投資家に配慮する姿勢を見せたが、国際社会の懸念を和らげる効果は皆無だった。

ジュネーブに本拠を置く国連人権理事会(UNHRC)は2月12日に会合を開き、ミャンマーの危機について話し合う予定。EUとイギリスはUNHRCに特別セッションの開催を要請した。

各国の外交官がミャンマーの危機について討論することで、懸念を表明する決議や新たな国際行動につながる可能性がある

9日、ニュージーランド政府はミャンマーとのすべての交流を停止し、軍の指導者に入国禁止の制裁を科すと発表した。ナナイア・マフタ外相は記者団に対し、「軍事政権に利益をもたらすべきではない」と述べた。

ナナイア・マフタ外相:
私たちは軍主導の政府の正当性を認めておらず、拘束されたすべての政治指導者を直ちに釈放し、文民の支配を回復するよう軍に要請する」

2021年2月10日 Getty Images/ミャンマー、ヤンゴン
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