◎政府は「現代の奴隷制度」と呼ばれる強制労働に巻き込まれた自国民の救出を公約に掲げている。
2022年10月6日/マレーシア、クアラルンプール国際空港、人身売買組織から救助された人々(Vincent Thian/AP通信)

マレーシア政府は6日、人身売買組織に騙されてカンボジアとラオスで強制労働を強いられていた自国民21人が帰国したと発表した。

報道によると、21人はクアラルンプール国際空港で家族らと再会したという。

政府報道官は記者会見で、「これまでにカンボジア、ラオス、ミャンマー、タイで行方不明と報告された401人のうち273人を救出することに成功した」と説明した。

6日に帰国した21人はこの273人に含まれる。報道官によると、さらに60人の帰国手続きを進めているという。

マレーシア外務省は声明で、「当局は同盟国と協力して残り128人の行方を捜している」と報告した。

外務省報道官によると、犠牲者の多くは20代だという。政府は国外で就労を希望する若者に注意を呼び掛けている。

政府は「現代の奴隷制度」と呼ばれる強制労働に巻き込まれた自国民の救出を公約に掲げている。

23歳のマレーシア人が人身売買組織の餌食となり、ミャンマー国境近くのタイの病院で死亡したことで、この問題はより緊急性を帯びてきた。

一部の政治家は行方不明と報告された401人は氷山の一角に過ぎず、数万から数十万人が人身売買組織の「詐欺」に巻き込まれ強制労働を強いられていると指摘している。

野党は政府に対し、人身売買組織とつながりのある地元のギャングや違法企業に法的措置を講じ、虚偽の求人広告を禁止するよう求めている。

一方、カンボジア当局は就労者を誘い込む違法なオンライン求人詐欺を多数摘発し、中国と台湾出身の数百人を逮捕している。

カンボジア警察によると、人身売買組織はカンボジアに拠点を置き、周辺国から就労者を集めているようだ。人身売買組織はタイ国境に近いラオスやミャンマーにも拠点を置いているとされる。

国連は「東南アジアで活動する人身売買組織は国際的な犯罪組織とつながっており、法執行機関の弱い国に拠点を置き、高収入を口実に就労希望者を集め、奴隷のように働かせている」と指摘している。

国外に送られた就労者は孤立し、暴力の脅威にさらされ、命を落とすことも珍しくない。専門家によると、東南アジアには臓器売買を専門とする犯罪組織が多数存在するという。

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