◎1月の大統領選挙で圧勝したサディル・ジャパロフ新大統領は、大統領の権限を強化する憲法改正国民投票を行うと選挙キャンペーン中に約束していた。
2021年1月8日/キルギス共和国、首都ビシュケクの市民(AP通信/Vladimir Voronin)

4月11日、キルギスタン(キルギス共和国)の市民は、大統領の権限を強化する憲法改正国民投票に投票する。

キルギスタンは昨年10月の議会選挙で混乱状態に陥り、爆発的な大衆蜂起の末、ソーロンバイ・ジェーンベコフ大統領(当時)は解任された。キルギスタンの指導者が大衆蜂起で打ち負かされたのは15年ぶり3回目。

1月の大統領選挙で圧勝したサディル・ジャパロフ新大統領は、大統領の権限を強化する憲法改正国民投票を行うと選挙キャンペーン中に約束していた。

地元メディアによると、新憲法は議会の定員を25%削減(120議席→90議席)し、大統領に裁判官および法執行機関の長を任命する権限と、独立した諮問委員会を設置する権限を与えるという。一部の専門家は、「諮問委員会は腐敗した議会に圧力をかけると期待されているが、大統領の独裁につながる可能性がある」と指摘している。

ジャパロフ大統領は10月の大衆蜂起中に刑務所から解放された。地元メディアによると、ジャパロフ大統領は金鉱をめぐる論争の中で地方知事を誘拐した罪に問われ有罪判決を受けたが、支持者たちは「ジェーンベコフ元大統領の陰謀」と主張していたという。

釈放されたジャパロフ大統領は市民軍と共にジェーンベコフ元大統領を打倒したうえで国の暫定指導者に就任し、1月の大統領選挙を制した。

伝えられるところによると、国民投票は賛成多数で可決される可能性が極めて高いという。

2021年1月10日/キルギス共和国、首都ビシュケク、サディル・ジャパロフ大統領(EPA通信)

キルギスタンの基本情報

・カザフスタン、ウズベキスタン、タジキスタン、中国と国境を接する。

・ソビエト連邦の一部だった時は、キルギスソビエト社会主義共和国と呼ばれていた。

・1991年に独立を宣言、現在の名前(キルギス共和国/キルギスタン)を取得した。

・2005年、アスカル・アカエフ大統領を蜂起によって一掃。2010年にはクルマンベク・バキエフ大統領を追放した。

脅迫、暴力、買収に満ちた選挙を繰り返し、事あるごとに大統領が追放される

・国内にロシアの空軍基地がある。

・ロシアの経済支援に依存している。

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