◎被告は高級車好きで知られ、「フェラーリのジョー」と呼ばれていた。
タイ警察のティティサン・ウッタナポン元署長(SHUTTERSTOCK/Getty Images)

タイの中央汚職・不正・刑事裁判所は8日、尋問中に容疑者を拷問死させた元地方警察署長のウッタナポン(Thitisan Utthanaphon)被告に終身刑を言い渡した。

被告は高級車好きで知られ、「フェラーリのジョー」と呼ばれていた。

警察内部から流出した映像によると、被告と警察官6人は麻薬密売容疑で逮捕された容疑者から現金5万8000ドルを脅し取ろうとし、頭に袋をかけて脅迫、窒息死させた。

判事は死刑を求刑していたが、被告が救命措置を取り、死亡した容疑者の葬儀費用を負担していたことなどを考慮し、減刑するとした。

事件に関与した他の警察官6人のうち5人は終身刑、1人は禁固5年4カ月を言い渡された。地元メディアによると、上訴期間は1カ月以内。

被害者の父親はAFP通信の取材に対し、「7人は教訓を学び、罪を継ぐなうべき」と述べた。傍聴席で判決を聞いた母親は泣いていた。

ウッタナポン被告の殺人動画はソーシャルメディアで拡散され、大混乱を引き起こした。被告は逃亡したが、その後自首し、「殺人ではなく事故だった」と主張した。

被告は警察主催の記者会見で、「殺すつもりはなかった。殺すつもりはなかった。情報を集めて、麻薬ビジネスを壊滅させるつもりだったんです」と語った。

また、被害者に賄賂を要求したことも強く否定した。

しかし、地元メディアによると、被告らは告訴取り下げに必要な賄賂を被害者が支払えないと述べたため、窒息死させられたという。

バンコク・ポスト紙は内部告発を引用し、「被害者は告訴を取り下げるために5万8000ドルを支払うよう命じられ、拒否したため襲われた」と報じている。

タイ警察では汚職と腐敗が蔓延しており、今回の事件は国民の逆鱗に触れた。

SNSユーザーは被告を「汚職フェラーリ署長」「恥辱警察」「タイ警察の恥」「拷問フェラーリ男」「ファラオ」などと呼び、死刑に処すよう呼びかけていた。

当局は被告がバンコクの高級住宅に住んでいたことを突き止め、少なくとも42台の高級車を所有していたと明らかにしている。

その中には世界に100台しかないランボルギーニの限定車(価格130万ドル)が含まれていた。地元メディアによると、この限定車の価格は被告の月給の約1000倍に相当する。

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