◎2012年に初めて提出されたこの法案は保守政党や保守的な団体からの激しい反対を受け、何度も修正を余儀なくされた。
2022年4月12日/インドネシア議会、性暴力根絶法案の可決を歓迎する下院議長(中央)(Galih Pradipta/Antara Foto/ロイター通信)

インドネシア議会は12日、待望の性暴力根絶法案を賛成多数で可決した。

法案が可決された時、マハラニ下院議長は目に見えて感動しているように見えた。「この法律はインドネシアの女性への贈り物です...」

国際人権NGO、人権活動家、議会の女性議員、そして国内の多くの女性が性暴力根絶法の施行を待ち望んでいた。

2012年に初めて提出されたこの法案は保守政党や保守的な団体からの激しい反対を受け、何度も修正を余儀なくされた。

北スマトラ州メダンのカトリック大学で講師を務めるゴザリ氏はアルジャジーラの取材に対し、「この法律は被害者の権利を第一に考える画期的な法律です」と語った。「インドネシアの刑法は性暴力事件の処罰にのみ焦点を当てていました...」

「インドネシアには被害者のことを第一に考え、その権利を最優先する進歩的な法律が必要でした」

新法は身体的・非身体的な性的虐待、強制避妊、強制不妊手術、強制結婚、性的拷問、性的搾取、性的奴隷、インターネットなどの電子機器による性的虐待などを禁じている。

身体的な性的虐待は12年以下、性的搾取は15年以下、児童婚を含む強制結婚は9年以下、非合意の性的コンテンツを流通させた場合は4年以下の懲役を科される可能性がある。

また新法は夫婦間の性的虐待も禁じている。現在の刑法は夫婦間レイプを違法と認めていない。

レイプ、わいせつ行為、子どもに対する性的暴力、ポルノ、強制売春など、他の形態の性的虐待も禁じる一方、これらは現在の刑法の別のセクションや、児童保護法などでも扱われている。また新法は被害者の賠償金を受け取る権利と、カウンセリングを受ける権利も規定している。

人権NGOアムネスティ・インターナショナル・インドネシアの代表は法案の可決を「長年の懸案を解決する第一歩」と呼び、歓迎した。「この歴史的な瞬間は、市民社会団体、特に女性の権利団体、そして性暴力の被害者とその家族が、この問題に対処しなければならないという意識を高めるために10年近く継続的に取り組んできた証です」

なお、新法は強制中絶をカバーしていない。

一部の団体はこれらの欠落を批判しているが、強制中絶は別の刑法でカバーされているため、違法である。

新法がもたらす大きな変化にも注目が集まっている。

インドネシアの刑法は通常、刑事事件では2項目(またはそれ以上)の証拠提出を求めている。しかし、性暴力根絶法は被害者の証言と1項目の証拠で起訴を可能にする。

また、使用できる証拠の種類も見直された。

地元メディアによると、これまでは認められていなかった心理学的・医学的報告書も証拠に含まれ、さらに、警察は性的虐待の通報を拒否できなくなり、捜査する義務を負う。

また、金銭による解決を図る「修復的司法」も性暴力事件では認められなくなった。

シンガポールに拠点を置くインドネシア・プログラムの研究員であるアリフィアント氏はアルジャジーラのインタビューの中で、「議会のイスラム保守政党はこの法案が最初に提出されてから5年以上、可決を阻止してきた」と説明した。

穏健派の民族覚醒党と、インドネシア最大のイスラム組織であるナフラトゥル・ウラマー(NU)の関連政党は法案を支持した。

保守政党は法案が夫婦間の性的奴隷関係や性的虐待に言及していることなどに反対した。イスラム法は、「家族関係において妻は夫に従順でなければならない」としている。

性暴力根絶法は12日に発効した。市民は今後、この法律が全国でうまく機能するかどうかを注意深く見守る必要がある。人権団体は刑法のさらなる改正を求めている。

アムネスティ・インドネシアの代表は「新法を歓迎するが、完璧ではない」と指摘する。「法案に書かれていた強姦を受けた被害者の権利を最優先する条文などが削除されているため、政府と下院に被害者の権利を最優先するよう要請し続けます...」

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