◎インドでは密造酒関連の事故が多発している。
プールサイドに置かれたカクテル(Getty Images)

インド当局は14日、東部ビハール州サラン地区で密造酒とみられるアルコールが提供され、少なくとも17人が死亡、20人が重体と発表した。

州警察によると、このアルコールはサラン地区の3つの村で13日と14日に出回ったという。ビハール州は酒類の製造・販売・消費を州法で禁じている。

サラン地区はビハール州の州都パトナの北約60kmに位置する。

この州法は2016年、貧しい労働者がわずかな収入をアルコールの購入に充てているという女性の権利団体が起こした訴訟で提起され、州議会はこれを採用した。

州警察によると、入院した20人のうち数人は視力を失っているという。

警察は密造酒とみられるアルコールを販売した疑いで3人を拘束したと伝えられている。

20人を受け入れた医療機関は地元メディアの取材に対し、「17人の死亡を確認した」と述べた。

死因は調査中としているが、国営テレビのドゥールダルシャン(DD)は警察筋の話を引用し、「17人は急性アルコール中毒で意識を失い、窒息死したとみられる」と報じた。

現場で対応に当たった救命士も「17人は酩酊状態でまともに受け答えができる状態ではなかった」と説明している。

インドでは密造酒関連の事故が多発している。

違法アルコールは安価で酔いやすいものの、度数を高めるために農薬やメタノールなどを混ぜていることが多く、極めて危険だ。

しかし、密造酒はインド全土で莫大な利益を生む産業のひとつになっており、その規模はアルコール産業に匹敵すると推定されている。密造者は税金を払わず、膨大な量の密造酒を安価で売りさばき、利益を上げている。

西部グジャラート州では今年7月、密造酒を飲んだとされる28人が死亡し、60人が体調を崩した。グジャラート州も酒類の製造・販売・消費を禁じている。

北部パンジャブ州で2020年に発生した事件では少なくとも120人が密造酒を飲み死亡している。

2022年7月26日/インド、西部グジャラート州の医療機関前(AP通信)
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