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▽インドのジャンムー・カシミール州で観光客が殺害されて以来、両国間の緊張は一気に高まり、紛争に発展する可能性も出ている。
2025年4月28日/インド、ジャンムー・カシミール州、陸軍の兵士(AP通信)

パキスタンのダール(Ishaq Dar)副首相兼外相は4月30日、隣国インドとの緊張が高まっていると述べ、紛争を回避するために国連や同盟国と連絡を取り合っていると明らかにした。

インドのジャンムー・カシミール州で観光客が殺害されて以来、両国間の緊張は一気に高まり、紛争に発展する可能性も出ている。

この事件はジャンムー・カシミール州近郊の山岳地帯にある観光地で22日に発生。正体不明の武装集団が観光客に向けて発砲し、26人が死亡、17人が負傷した。

インド政府はこの地域に陸軍を派遣し、容疑者を追跡している。

インド政府はこの事件を受け、パキスタン国民に発行したすべてのビザ(査証)を剥奪した。

パキスタンはインドの外交スタッフの削減、両国間で唯一機能している陸上国境の閉鎖、インドとの水共有条約を停止するなどの対抗措置を発表した。

またパキスタンはインドが所有または運営するすべての航空会社の領空への進入を禁じ、インドとの貿易を停止した。インド側も同様の措置を取っている。

インド政府はこの事件にパキスタン政府が関与したと主張しているが、その証拠は示していない。

パキスタン政府は関与を否定し、国連と国際社会に中立的な調査を求めている。

パキスタンのタラル(Attaullah Tarar)情報・放送相は29日、インドが今後24~36時間以内に軍事攻撃を仕掛けるという情報を入手したと明らかにしていた。

AP通信はパキスタン軍関係者の話しとして、「カシミール地方のパキスタン・インド境界で30日に銃撃戦があった」と伝えている。死傷者の情報はない。

パキスタン軍関係者によると、軍は現在、国内各地で「最悪の事態」に備えて軍事演習を行っている。

APは関係者の話しを引用し、「演習の目的はインドの軍事侵攻に備え、軍を万全の態勢に保つことである」と報じた。

ダール氏は30日の記者会見で、「政府はあらゆるテロリズムを非難しており、インドは国内のテロ事件を口実にこの地域を不安定化させようとしている」と語った。

またダール氏は「いかなる紛争も回避するために、国際社会と連絡を取り合っている」と強調した。

ダール氏はジャンミー・カシミール州で亡くなった犠牲者に哀悼の意を表し、「政府は独立した透明性のある調査を求め、インドが軍事侵攻に踏み切れば、強く対応する」と述べた。

インドとパキスタンはそれぞれカシミールの一部を管理している。この係争地をめぐる領有権争いが解決する目途は立っていない。

カシミールでは24年9月末頃から暴力事件が急増し、多くの市民が爆弾テロや銃撃戦に巻き込まれている。

カシミールの反政府勢力は1989年の武装蜂起以来、中央政府と戦ってきた。カシミールで生活するイスラム教徒の多くがパキスタンへの編入か独立という反政府勢力の目標を支持している。

インド政府は2019年、「歴史的大失態」の是正として、70年間に渡って認めてきたジャンムー・カシミール州の自治権を剥奪した。

ジャンムー・カシミール州はインドで唯一、イスラム教徒が多数派の州であり、ヒンズー政策を推進する政府と何度も対立してきた。

インドは21年、射程5000キロの核搭載可能大陸間弾道ミサイル「アグニ5」の発射実験に成功。これは長距離地対地弾道ミサイルである。

インドは1947年にイギリスから独立して以来、宿敵パキスタンと3度の戦争を戦ってきた。これらのミサイルはパキスタンの全国土を射程に収めている。

パキスタンも核保有国であり、中長距離ミサイルの開発を進めている。

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