◎インド西部グジャラート州はアジアで唯一、野生のライオンが生息する地域である。
2022年7月7日/インド、西部グジャラート州の海岸、野生のライオン(The Indian Express)

インド西部グジャラート州の沿岸部には100頭以上のライオンが生息している。専門家によると、ライオンの生息地はここ数十年の開発で破壊され、絶滅の危機にあるという。

グジャラート州はアジアで唯一、野生のライオンが生息する地域であり、2020年時点の個体数は約400頭と推定されている。

当局によると、沿岸部に移動した個体数は104頭。その他のエリアでは275頭の生息が確認されているという。

英字紙インディアン・エクスプレスは専門家の話を引用し、「ライオンは他に行き場がないため、ビーチに適応せざるを得なかった」と報じている。

同紙によると、ライオンはグジャラート州全域に生息していたが、20世紀初頭の乱獲と環境の悪化で数を減らし、10頭ほどに激減したという。

当局は絶滅を防ぐために保護区域を設定し、何とか個体数を回復させることに成功した。しかし、専門家によると、ライオンは縄張り意識がとても強く、狭い森で生活させることは難しいという。

州政府によると、ライオンは1990年代初頭に沿岸地域に進出した。これも縄張り争いのひとつと考えられている。

アフリカ大陸の雄ライオンは100㎢の縄張りを移動し、ライバルと雌ライオンを奪い合う。この1エリアには3~4頭の雌ライオンと子供が暮らしている。

子ライオンが大人になると、年老いた雄ライオンは縄張りを譲るか、新しい縄張りを探すのである。

グジャラート州の沿岸地域で生活する住民は、日常的にライオンを目撃する。

海辺に家を構える農家の男性はインディアン・エクスプレスの取材に対し、「最初は怖かったが、慣れた」と語った。「今では全然気になりません。彼らは何もしませんよ...」

当局によると、沿岸部には雄ライオン少なくとも7頭が生息しているという。つまり、7つの縄張りがあるということである。

当局はライオンの数が増え始めたことを受け、沿岸部の緑を増やす取り組みを開始した。

住民によると、ライオンはイノシシやニルガイなどを狩って暮らしているという。

沿岸部から数キロ離れた場所でマンゴー農園を営む男性はインディアン・エクスプレスに、「ライオンは子ヤギを襲うので困っている」と語った。「これまでに10頭失いました...」

一部の住民はヤギや犬が襲われたと憤慨しているが、ライオンはこの地域の害獣であるイノシシやアオドウガネ(昆虫)を食べるため、農作物被害が激減したと伝えられている。

当局によると、ライオンが人間を襲ったという報告は確認されていないという。

インディアン・エクスプレスは専門家の話を引用し、「ライオンに出会ったら立ち止まって道を開けるか、邪魔にならないようにすることが重要」と報じている。

また縄張りに不用意に入ったり、子ライオンに近づくと攻撃を受ける可能性があるという。

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