◎インドで最も影響力のある農業組合は昨年11月頃からニューデリーの郊外で野営抗議デモを続け、昨年9月に可決された農業法の廃止を求めていた。
2021年9月5日/インド、ウッタル・プラデーシュ州、農業法に反対する抗議デモ(Getty Images/AFP通信/PAメディア)

12月9日、昨年の11月頃から首都ニューデリーで始まった農業法に反対する抗議デモは、政府が法律の廃止を認めたことを受け、ほぼ終了した。

現地メディアや人権団体などによると、1年以上続いた抗議デモの期間中、少なくとも500人以上が自殺、コロナウイルス、熱中症、体調不良などで死亡したという。

インドで最も影響力のある農業組合は昨年11月頃からニューデリーの郊外で野営抗議デモを続け、昨年9月に可決された農業法の廃止を求めていた。

インドの農家は州の農産物市場委員会を通して保証価格以上で農産物を販売している。また、農産物の購入量と必需品に設定されている農作物の価格には上限が設定されていた。

新しい農業法が施行されると、農家は農産物を個人の裁量で販売できるようになる。農産物市場委員会は解散する予定だったが、政府は法律の施行を保留していた。

一連の抗議デモは数万人規模に膨れ上がり、ナレンドラ・モディ首相の悩みの種になった。農業組合の怒りはモディ政権の支持率に大きな影響を与えている。

モディ首相は11月19日に農業法の廃止を発表し、議会は同月30日に法律を廃止する法案を可決した。

AP通信などによると、抗議デモを主催した団体の代表たちは政府に求めていた要求の多くが認められたことを受け、野営施設の撤去に合意したという。

代表団のひとりであるバルビル・シン・ラジェワル氏はAP通信の取材に対し、「来年1月15日に集会を開催する予定」と明らかにした。「来年の集会で政府が約束通りに行動したかどうかをチェックします。もし約束を破れば、私たちはデモを再開するかもしれません」

ニューデリーの郊外に設置された野営施設の撤去は順調に進んでいると伝えられている。代表団によると、主要グループは12月11日の勝利式典後、州に戻る予定だという。

主要グループは主にパンジャーブ州、ハリヤナ州、ウッタル・プラデーシュ州の農民で構成されている。

政府は代表団の要求に基づき、デモの期間中に死亡した農民の家族を補償することに合意した。また、連邦政府、州政府、農業分野の専門家、農業組合の代表者を含む委員会の設立も約束した。

現在の農業法は食料備蓄を増やし、食料不足を防ぐ目的で1960年代に制定された。専門家によると、国内の農家の大多数が農産物市場委員会が設定した保証価格で農産物を販売しているという。

2021年11月19日/インド、首都ニューデリー郊外のシングー、農業法の廃止を祝う人々(Getty Images/AFP通信)
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