◎デリー首都圏の政府は17日、市内の交通量やその他の活動を抑制するために、封鎖の準備を進めていると明らかにした。
2021年11月17日/インド、首都ニューデリーの幹線道路(Getty Images/AFP通信/PAメディア)

11月17日、インドの首都ニューデリーは光化学スモッグ濃度が上昇していることを受け、市内の学校と一部の石炭火力発電所に閉鎖を命じた。

ニューデリーのスモッグ濃度は、近隣の州で行われる焼き畑や自動車の排ガスなどの影響により、毎年この時期に悪化する。

デリー首都圏の政府は17日、市内の交通量やその他の活動を抑制するために、封鎖の準備を進めていると明らかにした。現地メディアによると、政府は最高裁判所に封鎖の承認を求めており、来週中には決定が下される見込みだという。

封鎖の詳細は明らかにされていないが、当局は市内の事業活動を制限すると伝えられている。

連邦政府もニューデリーの大気汚染に強い懸念を表明し、環境省は16日遅くにスモッグ濃度の上昇を抑えるガイドラインを発行した。

環境省の大気質管理委員会は声明の中で、ニューデリーの学校と石炭火力発電所の閉鎖だけでなく、11月21日まで市内の建設工事を一時停止し、必須でない商品のトラック輸送を禁じた。また、スモッグの影響を受けている他の州の民間企業には、職員のテレワーク率を少なくとも50%まで引き上げるよう奨励した。

インドのスモッグは主に森林火災、焼き畑、自動車の排気ガス、石炭火力発電所から排出される煙などで構成されている。連邦政府によると、自動車の排気ガスは汚染物質の約25%を占めているという。

インド国内で大気汚染に関連する病気で死亡する人は毎年100万人以上と推定されている。

インドは先日閉幕したCOP26の中で、議長国が提案した「石炭火力の段階的な廃止」という文言を拒否し、文言は「石炭火力の段階的な削減」に書き換えられた。石炭火力はインドの経済を支える主要な電源であり、全発電量の70%以上を占めている。

一方、現地の予報官によると、今週のスモッグ濃度は前週からさらに悪化する見込みだという。来週の濃度は北東の季節風が強まる影響で低下すると予想されている。

ニューデリーの大気汚染は今月初めに「非常に悪い」レベルに達した。そのため、最高裁判所は先週、デリー首都圏の政府と連邦政府に緊急措置を取るよう命じ、デリー当局は封鎖を提案したうえで、学校と石炭火力を閉鎖した。

デリー首都圏の政府はこれまでにも建設工事の停止や自動車の使用を制限する措置などを講じてきたが、効果は一時的で、経済活動を再開するとスモッグの濃度は元の水準に戻った。

ニューデリーの一部の住民は政府に対策の強化を求めている。

食商品店を営むスレシェ・ジャイン氏はAP通信の取材に対し、「自動車の使用を制限し、ゴミの違法な焼却を厳しく取り締まってほしい」と述べた。

専門家も封鎖の効果は限定的と指摘している。

ニューデリーに本拠を置く科学環境センターのアヌミタ・ロイチョウドリー常務理事は、「すぐに大気汚染を改善する特効薬はない」と述べたうえで、スモッグの削減に向けた取り組みを継続していくことが重要と指摘した。

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