◎ニューデリーの大気汚染は近隣州の芝焼き、焼き畑、ヒンドゥー教の祭り「ディワリ」などで発生したスモッグが主な原因。
2021年11月17日/インド、首都ニューデリーの市街地(Getty Images/AFP通信/PAメディア)

インドの環境当局によると、首都ニューデリーの先月の大気汚染は過去数銭で最悪レベルを記録したという。

中央汚染管理委員会は公表したデータの中で、ニューデリーの汚染は近隣州の芝焼き、焼き畑、ヒンドゥー教の祭り「ディワリ」などで発生したスモッグが主な原因と述べた。また首都の11月の大気は一度も良い日を記録しなかったという。

デリー首都圏の政府は11月17日、市内の光化学スモッグ濃度が上昇したことを受け、市内の学校と一部の石炭火力発電所に閉鎖を命じた。この時の大気の状態は「非常に悪い」だった。

中央汚染管理委員会によると、11月のニューデリーの汚染レベルは2015年以来最悪だったという。

全国の大気汚染を調査している大気質予測機関SAFARのグフラン・ベイグ博士は地元メディアのインタビューの中で、「雨季が長引いた結果、芝焼きとディワリ祭が11月に後ろ倒しになり、ニューデリーの市民は過去最悪レベルの大気汚染を経験することになった」と述べた。

NASA(アメリカ航空宇宙局)の衛星データによると、10月1日~11月28日の間にニューデリーの近隣州であるパンジャーブ州、ハリヤナ州、ウッタル・プラデーシュ州で芝焼きと思われる火災が90,000件以上発生したという。

政府のエネルギー・環境・水評議会は3州で発生した火災の件数を過去5年で最悪と報告した。

近隣州の政府および連邦政府はニューデリーの汚染を改善するためにディワリ祭に欠かせない爆竹の使用を禁止したが、多くの市民がこれに従わず、ディワリ祭終了後のニューデリーの大気は「非常に悪い」レベルを超える危険水域に突入した。

連邦政府は芝焼きや残作物の焼却処分を禁止しているが、取り締まりは緩いと伝えられている。

また連邦政府はニューデリー近郊で進行中の農民デモの混乱を和らげるために芝焼きを合法化すると約束しており、大気汚染はさらに悪化すると予想されている。

ニューデリーの微小粒子状物質(PM2.5)濃度は世界保健機関が定める安全基準をはるかに上回っている。インド国内で大気汚染に関連する病気で死亡する人は毎年100万人以上と推定されている。

2021年11月5日/インド、スモッグに包まれるニューデリーの住宅街(Altaf Qadri/AP通信)

スポンサーリンク