◎フンガ・トンガ=フンガ・ハアパイの活動は昨年末頃から活発化し、1月15日に大噴火した。
フンガ・トンガ=フンガ・ハアパイ/2022年1月15日の大規模噴火の数日前に撮影された写真(Tonga Geological Services)

1月16日、ニュージーランド政府は太平洋の島国トンガに偵察機を飛ばし現地の状況を確認しようとしたが、巨大な火山灰の雲に飛行を妨げられ、島の現状を把握することはできなかった。

フンガ・トンガ島とフンガ・ハアパイ島の間に位置する火山フンガ・トンガ=フンガ・ハアパイの活動は昨年末頃から活発化し、15日に大噴火した。火山から500km以上離れたフィジー、さらに遠くのニュージーランドやオーストラリアにも噴火の轟音が届いたと伝えられている。

国際赤十字赤新月社連盟はNZLのメディアに、「トンガの住民最大80,000人が影響を受ける可能性がある」と懸念を表明した。トンガの人口は約10.5万人。

NZLのジャシンダ・アーダーン首相は16日の記者会見で、「現時点でトンガ政府と連絡は取れておらず、死亡者や負傷者の公式報告はまだない」と述べた。

またアーダーン首相は、「首都ヌクアロファは火山灰に覆われ、給水システムに深刻な影響が出ている」と述べ、支援の必要性を強調した。

トンガの電話回線とインターネットは噴火の影響で使用できず、電力供給も停止したと伝えられている。火山灰は絶縁性能を低下させるため、大量に降り積もると電線や発電所に影響を与える可能性がある。また貯水池、水道管、井戸などに流れ込むと水の使用も難しくなる。

トンガのフェイスブックユーザーはインターネットが遮断される前の投稿で、「トンガは火山灰に覆われ、月面のように見える」と報告していた。

アーダーン首相によると、軍は16日に偵察機を飛ばしたが、火山灰の雲の影響で地上の様子を確認することはできなかったという。NZL軍は17日に再度偵察機を飛ばし、地上の様子を確認でき次第、補給機と海軍の艦隊を送り込む予定。火山灰の雲は高度19,000mに達し、トンガと周辺海域を覆い尽くしている。

フンガ・トンガ=フンガ・ハアパイは昨年末頃から噴火を繰り返していた。トンガ気象庁によると、ここ数日も何度か激しく噴火し、一部の島では硫黄とアンモニア臭が報告されていたという。15日の爆発的噴火の写真や映像は今のところ確認されていない。

アーダーン首相は、「島の一部地域の電力は回復し、電話回線もゆっくりとだが機能し始めている」と述べた。しかし、被害の全容は明らかになっておらず、NZLとオーストラリアのトンガ人はソーシャルメディアで家族や友人の安否に懸念を表明し、国際社会に支援を呼びかけた。

トンガはフィジーの首都スバから海底ケーブルを介してインターネットを利用している。

インターネットの通信状況を監視しているネットワークインテリジェンス会社ケンティックによると、トンガのインターネット通信は16日の現地時間午後6時40分頃に完全に遮断されたという。

トンガの首都ヌクアロファの北約64kmの地点に位置するフンガ・トンガ=フンガ・ハアパイは、2014年末から2015年初頭の間に発生した噴火で小さな島を形成し、その噴火は太平洋諸島への空の便に影響を与えた。

地球の衛星画像を撮影しているプラネット・ラボは12月下旬の噴火以来、フンガ・トンガ=フンガ・ハアパイを監視していた。同社の衛星画像は15日以前の火山活動のすさまじさを物語っている。

プラネット・ラボは最新の活動報告で、「島の表面積はここ数日の活動で45%近く拡大した」と述べていた。

米国と英国の外交トップは16日、トンガの状況に深刻な懸念を表明し、支援の準備はできていると述べた。

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