◎トンガ政府はコロナウイルスが国外から持ち込まれる可能性に懸念を表明しているため、支援部隊には感染予防対策の撤退が求められる。
2022年1月20日/トンガ、首都ヌクアロファ、火山灰と瓦礫を片付ける人々(Marian Kupu/Broadcom Broadcasting/AP通信)

1月20日、ニュージーランド政府はトンガの主要空港の火山灰除去作業が完了したため、航空機による支援物資輸送を開始したと明らかにした。

ナナイア・マフタ外相は記者団に、「飲料水、医療キット、発電機、衛生用品、通信機器などの支援物資を積み込んだ輸送機が出発した」と述べた。

フンガ・トンガ島とフンガ・ハアパイ島の間に位置する火山フンガ・トンガ=フンガ・ハアパイの活動は昨年末頃から活発化し、15日に大噴火した。噴火後に発生した津波は太平洋全域に到達し、ペルーでは死者も報告されている。

オーストラリア政府も支援の準備を進めており、公共放送ABCによると、人道支援物資を積み込んだ軍の輸送機2機は20日の午後にトンガに到着する予定だという。

日本の岸田首相も20日の議会演説で、飲料水を積み込んだ自衛隊の輸送機2機をオーストラリアに送ると明らかにした。日本は100万ドル以上の無償支援を表明している。

トンガ政府はコロナウイルスが国外から持ち込まれる可能性に懸念を表明しているため、支援部隊には感染予防対策の撤退が求められる。

ニュージーランドのぺーニ・ヘナレ国防相は20日の会見で、「トンガに到着した輸送機は最大90分間現地にとどまる予定」と述べた。

一方、国連の報道官は19日の声明で、「トンガの人口の80%以上にあたる約84,000人が噴火の影響を受け、これまでに少なくとも3人の死亡が確認され、多くの住民が住まいを失ったと報告を受けている」と述べた。トンガ政府も同様の公式声明を発表している。

フィジーとトンガを結ぶ通信ケーブルは噴火の影響で不通になったものの、AP通信によると、ローカル電話ネットワークは機能しており、住民は互いに連絡を取り合うことができたという。また、2G接続は通信プロバイダーのディジセル社の取り組みで復旧したが、回線は需要に圧倒されており、つながりにくい状態が続いている。

2022年1月19日/オーストラリア、ブリスベン港の艦艇(David Cox/Australian Defence Force/Getty Images/AFP通信)

ニュージーランド海軍の艦艇は20日の遅くにトンガに到着する予定と伝えられている。

海軍によると、艦艇の最初の任務は首都ヌクアロファの埠頭の状態をチェックし、輸送経路を確保することだという。

飲料水25万リットルを積み込んだ別のNZL艦艇は海水を淡水化するプラントを使って1日数万リットルの飲料水を生産できる。トンガ政府と国連は「飲料水の確保が喫緊の課題」と述べていた。

また国連のステファン・ドゥジャリック報道官によると、マンゴー島の家屋はすべて破壊された可能性が高く、フォノイフア島で現存している家屋は2戸、ノムカ島でも甚大な被害が報告されているという。これらの被害状況はAUSとNZL軍の偵察で明らかになったものの、離島の住民の安否はまだ確認できていない。

ABCによると、マンゴー島の住民は36人、フォノイフア島は69人、ノムカ島では239人が生活しているという。トンガの市民の大多数はヌクアロファのあるトンガタプ島で生活している。

ドゥジャリック報道官は最も差し迫った人道的ニーズは飲料水、食料、医薬品を含む生活必需品、そして、国際電話とインターネット通信の復旧と強調した。

2022年1月20日/トンガ、首都ヌクアロファ、津波で押し流された瓦礫(Marian Kupu/Broadcom Broadcasting/AP通信)
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