◎林鄭月娥(りんていげつが)行政長官はまもなく退任する予定。
2022年5月6日/香港議会、李家超(ジョン・リー)前政務官(Getty Images/AFP通信)

香港特別行政区立法会は8日、新たな行政長官を決める投票でオンリーワン候補の李家超(ジョン・リー)前政務官に投票した。

リー氏は2019年の民主化運動の取り締まりを監督したことで知られる親中強硬派で、行政長官就任後も民主化勢力の締め付けを維持する見込みである。

林鄭月娥(りんていげつが)行政長官は6月末に退任する予定。

香港立法会の議員約1500人はほぼ全員親中派であり、中国共産党に忠誠を誓わない「非愛国者」は議会選への立候補を許可されない。

現地メディアによると、リー氏は1416票の賛成を集め、予定通り選出されたという。

立法会の議員はリー氏を適任と称賛しているが、民主化勢力は2019年の物議を醸す民主化弾圧を主導したリー氏の就任に強く反対している。

リー氏はデモ隊を中国の敵と見なし、放水砲、ゴム弾、催涙ガス弾、時には実弾の使用も許可し、徹底的に弾圧した。

またリー氏は、2020年に施行された物議を醸す国家安全維持法を称賛し、「維持法は混沌を鎮め、安定をもたらした」と主張した。

リー氏は昨年、指導部に昇格した。中国共産党は維持法を支持する人物を次期行政長官に指名するよう立法会に促したようである。

リー氏を含む親中強硬派の指導者12人は米国に制裁を科されている。ユーチューブは先月、リー氏の選挙チャンネルを閉鎖した。

香港の民主化勢力は水面下で活動しているものの、市内で親中派を非難すれば取り締まりの対象となるため、投獄されていない主要活動家は主に国外で情報を発信している。

アップルデイリー紙(リンゴ日報)の創業者であるジミー・ライ(Jimmy Lai)氏を含む主要活動家は2020年に天安門事件の追悼集会を扇動した罪で起訴、投獄された。

民主化運動の象徴である周庭(Agnes Chow)氏は昨年6月に釈放されたものの、現在は活動を控えている。

2021年6月12日/香港の刑務所前、民主活動家の周庭氏(中央)(AP通信/Vincent Yu)
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