ネパール初の女性首相就任、暴動沈静化で外出禁止令解除
ネパールの政界は長年にわたり汚職問題に深く浸食されてきた。
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ネパール政府は13日、首都カトマンズおよび周辺地域における夜間外出禁止令を解除した。
今週発生した抗議デモはおおむね収束し、同国初の女性首相が誕生したことを受けての措置だ。
政府は先週、フェイスブックやX(旧ツイッター)、ユーチューブを含む大半のソーシャルメディアプラットフォームを遮断。国内で広く利用されている約20のSNSに対し、企業登録を行うよう通知した。
ティックトック、バイバーおよびその他3つのプラットフォームは国内に連絡事務所または窓口を設置し、政府への登録を済ませているため、運営が許可されていた。
政府はSNS各社に対し、国内に事務所または窓口を設置するよう求めてきた。
多くの学生を含む若者たちはこの禁止令に激怒し、抗議デモを開始。一部が暴徒化し、政府庁舎や政治家の自宅などに火を放った。
この結果、少なくとも51人が死亡した。
この暴動を受け、オリ(Khadga Prasad Oli)首相は辞任。複数の閣僚が暴徒に襲われる恐れがあるとして、ヘリコプターでの避難を呼びなくされた。
12日午後、元最高裁判所長官のカルキ氏(Sushila Karki、73歳)が同国初の女性首相に就任。秩序の回復と汚職のない未来を求める抗議者の要求に対応すると約束した。
議会は解散済み。26年3月5日に総選挙が行われる予定だ。
禁止令撤回後もより広範な不満から混乱は続いた。数万人の抗議者が議会、大統領官邸、企業を襲撃・放火した。
カルキ氏は12日遅くに宣誓。同氏は2016年から2017年にかけて最高裁で唯一の女性長官を務めた際、国民的人気を博した。
ネパールの政界は長年にわたり汚職問題に深く浸食されてきた。制度的な未成熟、政党間抗争、経済的脆弱性、そして統治能力の欠如が重なり、汚職は国家運営の根本的な課題となっている。特に1990年代以降、民主化の進展と同時に政治的自由は拡大したが、統治機構の整備が追いつかず、政党や政治家による権力乱用や利権追求が目立つようになった。
ネパールの政治は多党制のもとで頻繁に政権交代が行われてきたが、その不安定さはむしろ汚職を助長した。各党派は政権を握ると短期的な利益を最大化する傾向が強く、公共事業の入札、官僚人事、国有資源の分配などが政治的取引や癒着の温床となった。さらに、連立政治の常態化によって政党間の取引が横行し、政策決定が透明性を欠く形で進められることも少なくない。
汚職の典型例としては、公共工事契約の不正、インフラ開発資金の横領、海外援助資金の流用などが挙げられる。ネパールは国際援助に大きく依存してきたが、その資金が本来の目的に使われず、政治家や官僚の私腹を肥やす手段となることが繰り返されてきた。特に道路建設や水力発電プロジェクトでは不透明な契約や品質の低い施工が問題視され、国民の信頼を損ねている。
また、司法機関や警察の汚職も深刻である。政治家が司法手続きに介入し、自党関係者を守る一方で、政敵を標的にすることが常態化している。そのため法の支配は弱まり、汚職摘発が選択的に行われることも多い。腐敗防止を目的とした憲法上の機関「汚職防止委員会(CIAA)」は存在するが、その活動は政治的圧力によって制約を受け、抜本的な改革には至っていない。
さらに、海外出稼ぎ労働者からの送金に依存する経済構造も汚職を助長している。労働者派遣に関わるビザ発給や仲介業者との関係においても不正が横行し、庶民は官僚や政治家に賄賂を支払わなければ基本的な手続きを進められない現実がある。こうした日常的な小規模汚職が、国家全体の統治コストを押し上げ、社会に広範な不信感を広めている。
国際的な評価でも、ネパールは汚職認識指数(CPI)で南アジア諸国の中でも下位に位置しており、透明性の欠如が顕著とされる。市民社会やメディアによる監視は強まっているが、政界の根深い利権構造を打破するには至っていない。
ネパールの汚職問題は単なる個人の不正行為ではなく、制度的欠陥と政治文化に根ざした構造的な問題である。真の解決には、司法の独立強化、透明な行政システムの確立、政党内の民主化、そして市民社会の継続的監視が不可欠である。しかし現状では、短期的な権力闘争や既得権益の維持が優先され、抜本的な改革が進みにくい状況にある。
