◎北京2022冬季五輪は2022年2月4日に開幕する予定である。
2009年10月6日/中国、北京で行われたWTAトーナメント、彭帥(ポン・シュアイ)選手(NgHan Guan/AP通信)

11月27日、女子テニス協会(WTA)のスティーブ・サイモンCEOは、中国共産党の元最高幹部に性的暴行を受けたと告白した彭帥(ポン・シュアイ)選手の失踪事件について、「懸念は全く払拭されていない」と語った。

WTAツアーで24勝を挙げ、オリンピックに3度出場した彭帥 選手は今月2日、共産党の政治局常任委員会のメンバー兼元副首相である張高麗(ちょうこうれい)氏に7年前に性的暴行を受け、3年前にはテニスの試合後にセックスを強要されたと告白し、行方不明になった。

失踪事件は広範な懸念と怒りを引き起こし、米国、国連、世界のスポーツ選手、テニス協会、主要な人権団体が彭帥 選手と家族の安全を保障し、その証拠を提供するよう中国共産党に求めた。

IOC(国際オリンピック委員会)は彭帥 選手の失踪に関する声明をなかなか出さず猛批判を浴びたが、先週のオンライン対話で批判をある程度かわすことに成功した。

WTAは27日の声明で、「サイモンCEOは様々な関係者を介して彭帥 選手と連絡を取ろうとした」と述べた。「CEOは彼女に電子メールを2通送信しました。しかし、彼女の返信が検閲されている(第三者のものである)ことは明らかでした。CEOは彭帥が拘束と検閲から解放されていないことを深く懸念しています...」

IOCのトーマス・バッハ会長は先週、彭帥 選手とオンラインで対話し、証拠の写真を公開した。バッハ会長は「彼女はうまくやっており、プライバシーの尊重を求めた」と声明で述べたが、対話の音声データは公開されておらず、本当に話したかどうかは不明である。

一部の専門家は、「彭帥 選手が自由に第三者と話せるのであれば、IOCではなくWTAに連絡を入れるだろう」と指摘した。「なぜ彼女はIOCと話したのですか?彼女の主戦場はWTAツアーです。なぜバッハなのですか?」

国際人権NGOヒューマン・ライツ・ウォッチは先週、中国共産党寄りのIOCを厳しく批判した。別の人権団体は「中国のプロパガンダに協力するな」とバッハ会長を非難し、ウイグル族の権利を求める団体は北京2022冬季五輪の中止をあらためて訴えた。

バッハ会長は以前、中国を取り巻く人権問題に介入することはできず、IOCは中立でなければならないと主張していた。

ヒューマン・ライツ・ウォッチのヤキ・ワン研究員は声明の中で、「IOCはひどい人権侵害に沈黙し、言論の自由を踏みにじり、スポーツ選手に対する性的暴行をもみ消そうとする共産党と積極的に協力し、北京2022を大成功させたい」と批判した。

WTAは数十億ドル規模の市場である中国からの撤退もあり得ると圧力をかけている。中国市場からの撤退を示唆した世界の主要なスポーツ団体はWTAが初めて。

IOCのディック・パウンド委員は今週、CNNニュースのインタビュー中で、彭帥バッハのビデオ通話に「困惑した」と述べた。「世界中の多くの人々が彭帥と連絡を取ろうとしました。しかし、連絡を取れた人はひとりもいませんでした...」

「IOCだけが彭帥と連絡を取れました。バッハとIOC委員2人だけがビデオ通話に参加したそうです。通話の様子を記録した映像は公開されませんでした...」

パウンド委員は「ビデオ通話の録画映像は見ておらず、対話が行われたどうかはそれに参加した3人にしか分からない」と述べた。

性的暴行容疑で告発された張高麗の行方は分かっていない。

2021年11月21日/IOCのトーマス・バッハ会長は中国の彭帥(ポン・シュアイ)選手とオンラインで約30分話したと主張している(Getty Images/AFP通信/IOC/Greg Martin)
アフィリエイト広告
スポンサーリンク