◎原油価格は2014年以来の高値に達し、欧州でも燃料価格の高騰が続いている。
2021年10月27日/中国、北京のガソリンスタンド(Getty Images/AFP通信/PAメディア)

中国の現地メディアによると、当局は多くの地域で進行中の燃料不足を解消するために、ディーゼル燃料の配給を開始したという。

中国版ツイッターのWeiboによると、ガソリンスタンドの給油待ち渋滞は日を追うごとに悪化し、一部のトラック運転手は24時間以上並んでようやく給油できたという。

中国は石炭と天然ガス不足に悩まされており、各地で計画停電が続いている。電力会社は石炭火力発電所の稼働率を高めているが、問題が解消される目途は立っていないと伝えられている。

エコノミスト・インテリジェンス・ユニットのマティーベ・キンク氏は中国の燃料不足について、「中国だけでなく、海外市場向けの商品輸送に影響を与える可能性がある」と指摘した。「燃料不足はサプライチェーンに欠かせない長距離トラックの運行を脅かしています」

世界経済はコロナウイルスがもたらした混乱から立ち直りつつあり、燃料を含む物資の需要が急増した。しかし、生産者と運送業界は消費者の需要に対応できず、世界的な燃料不足とサプライチェーンの混乱に発展した。

中国のビジネスニュースサービスCaixinの取材に応じた河北省の運送会社は、「トラック1台当たりの給油量は1日に必要な量の約10%に相当する100リットルに制限されている」と語った。

Caixinによると、車1台あたりの給油量を1日25リットルに制限している地域も確認されたという。

あるWeiboユーザーは、「地域内のガソリンスタンドはほぼ全て閉鎖されている」と投稿した。

別のユーザーはインフレと配達遅れを嘆いた。一部地域ではトラック輸送が滞り、スーパーマーケットの棚が空っぽになったと伝えられている。

一部の専門家は、「中国の市場は石炭不足は認識していたが、ディーゼル燃料がここまで急速に不足するとは思っていなかった」と指摘した。

アクサ・インベストメント・マネージャーズのエコノミストは、「原油、天然ガス、石炭の価格は連動しており、それらの不足は過去に類を見ない混乱を引き起こしている」と述べた。

原油価格は2014年以来の高値に達し、欧州でも燃料価格の高騰が続いている。インドも石炭と天然ガスの不足に悩まされている。

スタンダード銀行のチーフエコノミスト、ジェレミー・スティーブンス氏はロイター通信の取材に対し、「中国の企業はディーゼル発電機を使って工場を稼働させようとするだろう」と語った。

またスティーブンス氏は進行中の燃料危機と電力危機について、「再生可能エネルギーは温室効果ガスの削減に欠かせないが、切り替えを急ぎ過ぎると電力会社は需要に対応できず、経済に深刻な影響を与える可能性がある」と警告した。

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