◎中国共産党は2015年に「一人っ子政策」をふたりっ子政策に変更したが、今回さらに規制を緩和した。
2021年8月21日/中国、首都北京の公共公園(Mark Schiefelbein/AP通信)

8月20日、中国の立法府は人口家族計画法を改正し、カップルに3人目の子供を持つことを許可した。

中国共産党は2015年に「一人っ子政策」をふたりっ子政策に変更したが、今回さらに規制を緩和した。

共産党指導部は1980年代からカップルの子供の数を厳しく制限した。一人っ子政策に違反したカップルは罰金や失業に直面し、強制中絶などの虐待が全国各地で横行したと伝えられている。また多くのカップルが男児を望んだため、女児の遺棄や殺人が社会問題になり、性比に大きな不均衡をもたらしたが、指導部はこの主張を却下している。

共産党指導部は、「一人っ子政策は4億人の人口増加を防ぎ、資源の節約と経済成長を促進した」と長年宣伝してきたが、2015年に出生率の減少が国の活動に大きな影響を与えると初めて認め、規制を緩和した。

世界銀行によると、中国の出生率は一人っ子政策が始まる前からすでに低下していたという。1960年代の母親1人あたりの出生率は6人以上だったが、1980年代初頭には3人未満に減少した。

一方、国内の生産年齢(労働力年齢)人口はここ10年で大きく減少したが、総人口はほとんど増加せず、指導部は高齢化に強い危機感を示していた。

10年に1度行われる国勢調査によると、2020年の総人口は約14億1,100万人で2010年から7,200万人増加したという。しかし、2020年の60歳以上の人口は総人口の約18.7%に達し、2010年から約5.4%増加した。さらに、生産年齢人口は2010年の70.4%から2020年には63.6%まで減少したという。

ふたりっ子政策への移行は一時的な出生数の増加につながったが、多くの女性が経済的な理由などで家族を増やすことに反対し、出生数は再び減少に転じた。

日本、ドイツ、その他の先進国も中国と同じ課題を抱えている。しかし、中国は数億人の農家と製造業者の活動で経済を押し上げてきた中所得国であり、人口の減少は経済により大きな影響を与えると考えられている。

全国人民代表大会常任委員会は20日、ふたりっ子政策に違反した家族に対する罰金を廃止し、新たに育児休暇と育児支援金を導入するよう立法府に命じた。また、家族の負担を軽減するために、財政、税制、学校教育、住宅、雇用の問題に対処する新しい措置を導入しなければならないと述べた。

さらに共産党指導部は、出生率低下の要因のひとつと考えられている「職場での妊婦の扱い」と「子供を持つ母親に対する差別」にも対処するよう命じた。

専門家によると、子供を持つ母親は職場でひどく過少評価されており、中央および地方政府で役職に就いている子供を持つ母親は全体の約8%にとどまっているという。

2021年6月22日/中国、首都北京の天安門広場、写真を撮る親子(Mark Schiefelbein/AP通信)
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