◎カンボジアは30年にわたる内戦と紛争により、世界で最も地雷の多い国のひとつとなった。
2010年2月17日/カンボジア、首都プノンペン、日本政府が提供した機材をチェックする当局者(Heng Sinith/AP通信)

カンボジア政府は2日、ロシア軍がウクライナ領内に敷設した地雷を除去する取り組みを支援するために、専門家チームを現地に派遣すると発表した。

外務省によると、フン・セン(Hun Sen)首相は1日にゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領と電話会談を行い、日本と共同で専門家をウクライナに派遣し、現地で訓練を提供することに合意したという。

カンボジアは30年にわたる内戦と紛争により、世界で最も地雷の多い国のひとつとなった。

紛争終結以来、多くの地雷や不発弾が除去され、犠牲者の数は大幅に減少した。

カンボジア軍の地雷除去チーム兵は世界で最も経験豊富な部隊となり、この10年間で数千人が国連の支援のもと、アフリカや中東に派遣されている。

カンボジア地雷対策センター(CMAC)はフェイスブックの投稿で、「日本と協議した結果、12月初旬に最初のチームをウクライナに派遣し、来年3月までに第二陣を派遣する予定」と説明している。

外務省によると、ゼレンスキー氏は地雷除去機の供与と現地訓練を歓迎したという。また両国は特使を派遣し合うことにも合意した。

ウクライナでは現在、米国やドイツなどの数カ国が地雷除去の支援に当たっている。

フン・セン氏はロシアや中国といった旧社会主義圏との関係を重視する一方、ロシアのウクライナ侵攻を厳しく非難し、「カンボジアは侵略に強く反対する」と明言している。

カンボジアはロシアのウクライナ侵攻を非難する国連決議案を共同提出した国のひとつである。カンボジアの隣国である社会主義圏のベトナムとラオスは棄権した。

フン・セン氏はロシアによるウクライナ4州の強制併合も非難し、最近のエネルギーインフラに対する攻撃にも深刻な懸念を表明している。

国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(HRW)は6月に公表したレポートで、「ウクライナ領内に地雷が敷設されたことで多くの民間人が犠牲となり、食料生産に深刻な影響が出ている」と告発した。

またHRWは「ロシアは対人地雷禁止条約(オタワ条約)で禁止されている対人地雷を使用する唯一の国となり、ロシアとウクライナは対車両用地雷を使用している」と報告している。

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