◎バングラでは計画停電が常態化している。特に地方都市はしばしば停電し、電気を使用できない地域もある。
2022年10月4日/バングラデシュ、首都ダッカの市場(Getty Images/AFP通信)

バングラデシュ政府は4日、東部の送電網で障害が発生し、全国各地で停電が発生したと発表した。

電力開発庁によると、東部の送電線で障害が発生し、発電所や変電所に波及。大規模停電を引き起こしたという。

同庁の報道官は声明で、「全ての発電所が停止し、首都ダッカを含む主要都市でも停電が発生した」と説明している。

バングラでは計画停電が常態化している。特に地方都市はしばしば停電し、電気を使用できない地域もある。電気が届いていない地域の住民は灯油やろうそくで灯りを確保している。

国営電力会社の職員は事故現場を調査し、復旧作業に当たるとしている。全面復旧にはかなりの時間がかかるとみられる。電力開発庁によると、復旧時間には地域差が出る見込みで、早い地域は数時間、遅い地域は数日かかる可能性があるという。

バングラの経済は近年、急速に成長しており、電力需要に供給が落ち着いていない。

政府は燃料価格の高騰を受け、ディーゼルエンジン駆動の発電所をすべて停止している。ディーゼル発電は総発電量の約6%を占めている。

8月初めにはガソリン価格が50%以上引き上げられ、リッター86タカ(122円)から130タカ(185円)に上昇。ディーゼルとケロシン(灯油)も40%以上値上がりした。

バングラ縫製輸出業者協会によると、縫製工場は1日に4〜10時間程停電しており、生産に深刻な影響が出ているという。バングラは中国に次ぐ世界第2位の衣料品輸出国で、年間外貨収入の80%以上を衣料品で稼いでいる。

アジア開発銀行(ADB)は先月公表したレポートで、バングラの今年度の経済成長率は前回予想の7.1%から6.6%に鈍化すると報告した。輸出需要の低迷による個人消費の落ち込みや、計画停電により国内製造業が制約を受けていることなどが減速の背景にあるという。

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