◎火災は7月8日遅くに首都ダッカ郊外の工業都市ルプガンジにあるハシェム食品飲料工場で発生した。
2021年7月9日/バングラデシュ、首都ダッカ郊外のルプガンジにある食品飲料工場、内部の様子(AP通信/Mahmud Hossain Opu)

7月9日、バングラデシュの首都ダッカにある食品飲料工場で火災が発生し、少なくとも52人が死亡、30人が負傷した。

火災は8日遅くに首都ダッカ郊外の工業都市ルプガンジにあるハシェム食品飲料工場で発生した。消防当局はAP通信の取材に対し、「工場内には多くの化学物質とプラスチックが保管されていた」と述べた。

また、消防士は現時点で52人の死亡を確認したが、まだ捜索を終えていないフロアがあるため、死傷者は増える可能性があると付け加えた。

この工場ではフルーツジュース、インスタント麺、菓子などが製造されていた。

AP通信の取材に応じた消防および市民防衛局のデバシッシュ・バードハン副局長はインタビューの中で、「工場のメイン出口は内側から施錠されていたため、犠牲者たちは逃げ出すことができなかった」と述べた。

バングラデシュ連合ニュースによると、多くの労働者が5階建ての工場の上層階から飛び降り、少なくとも26人が負傷したという。

当時、工場内にいた労働者の数は明らかにされていない。

バードハン副局長は消火と救助活動を継続すると強調したうえで、「手元にある情報は限られている」と述べた。

バングラデシュでは劣悪な環境下で働かされる労働者の悲惨な事故が数えきれないほど発生してきた。低賃金労働者を雇用している大手国際ブランドなどは、火災やその他の災害で数千人が死亡して以来、労働環境を改善し規則を順守するよう圧力を受けている。

ハシェム食品飲料工場の所有者は、パキスタンのラホールに本拠を置くシェザン・インターナショナルの子会社サジーブ・グループと伝えられている。同社のウェブサイトによると、工場の製品はオーストラリア、アメリカ、マレーシア、シンガポール、インド、ブータン、ネパール、中東諸国などに輸出されていたという。

サジーブ・グループの輸出担当を務めるカジ・アブダー・ラーマン氏はAP通信の取材に対し、「同社は国際基準を完全に順守している」と述べたが、工場のメイン出口が施錠されていた理由は明らかにしなかった。「私たちは評判の良い会社です。私たちはルールを守っています。今日起こったことはとても残念です。後悔しています...」

バングラデシュの法律によると、施設内に労働者がいる状態で出口を施錠することは禁じられているという。

バングラデシュでは工場火災が後を絶たず、2012年にはダッカの縫製工場の労働者117人が焼死した。この時、工場の出口は施錠されていた。

2013年、ダッカ郊外のラナプラザにある縫製工場が火災の影響で崩壊し、1,100人以上が死亡した。事件後、政府はより厳しい安全規則を雇用主に課し、それ以来国内の衣料産業(主に大手)は規則をほぼ守るようになったと信じられている。しかし、一部の小規模な地元業者は規則を守らず、災害は続いた。

2019年2月、ダッカの住宅密集地にあった倉庫で火災が発生し、少なくとも67人が死亡した。

国際労働機関は2017年に公表したレポートの中で、「バングラデシュの規則と査察の枠組みは業界の発展に追いつくことができず、国際基準を満たしていない」と述べた。

2021年7月9日/バングラデシュ、首都ダッカ郊外のルプガンジにある食品飲料工場(Getty Images/AFP通信)
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