◎オーストラリアは世界有数の石炭・液化天然ガス(LNG)輸出国だが、先月から電力危機に悩まされている。
オーストラリア、ニューサウスウェールズ州シドニーの夜景(lucylin/Pixabay)

オーストラリア政府は16日、最大都市シドニーを含むニューサウスウェールズ州(NSW)の市民に節電を呼びかけた。

ボーエン(Chris Bowen)気候変動エネルギー相は、「可能であれば、毎晩2時間は消灯してほしい」と国民に協力を呼びかけた。「選択できるのであれば、夕方の6時~8時までは電気を消してください...」

またボーエン氏はエネルギー危機がもたらした電力不足は「回避できると確信している」とした。

AUSの主要な電力卸売市場は15日、取引価格の高騰を受け、取引を停止した。

同国は世界有数の石炭・液化天然ガス(LNG)輸出国だが、先月から電力危機に悩まされている。

同国が消費する電力のおよそ75%は石炭火力で発電されている。

オーストラリア放送協会(ABC)によると、この電力危機は石炭採掘量の減少、国内の石炭火力発電所の緊急停止(定期点検含む)、世界的なエネルギー価格の高騰がもたらしたという。

今年初めにNSWとクイーンズランド州を襲った洪水はいくつかの炭鉱を水浸しにし、NSWにある国内最大の石炭火力発電所の運用に影響を与えた。

報道によると、現在、国内の石炭火力の4分の1が定期点検または予期せぬトラブルに見舞われ稼働していない。

さらに、ここ数日の寒波やコロナウイルス規制解除による経済活動再開を受け、電力需要が急増した。

これに西側の対ロシア制裁による化石燃料価格の高騰が組み合わさった結果、卸売市場の電力価格は規制当局が設定している上限価格を超えた。

市場運営会社のAUS・エネルギー市場オペレーター(AEAO)は15日、市場を停止するという前例のない措置を取り、価格を直接設定したうえで発電事業者が被る損害を補償すると発表した。

AEMOは停止解除時期には言及せず、「卸売価格が基準値を下回るまで、価格上限を維持する」とした。

AUS最大の電力会社であるAGLエナジーは16日、「今後数日以内に電力供給を増やせる見込み」と声明を発表した。

同社が保有するNSWベイズウォーターの主要石炭火力発電所の3基が現在、運用を停止している。同社によると、このうち1基が17日に、さらにもう1基が18日に稼働する予定。

アルバニージー(Anthony Albanese)首相は16日から始まった州首相との会合でこの問題について提示するとしている。

2022年2月28日/オーストラリア、クイーンズランド州ブリスベンの通り(Darren England/AAP/AP通信)
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