◎豪を含む多くの先進国が高い技能を持つ移民を確保したいと考えている。
2023年4月27日/オーストラリア、首都キャンベラ、オニール内相(Lukas Coch/AAP/AP通信)

オーストラリア政府は27日、移民制度を見直す取り組みの一環として、熟練技能を持つ移民労働者の最低賃金を引き上げると発表した。

人権団体や活動家は同国の制度が移民労働者を低賃金で働かせ、搾取を助長していると非難してきた。

オニール(Clare O’Neil)内相は記者団に対し、「低賃金の仕事に就くことはますます容易になる一方、我々が求めている熟練技能を持つ移民の確保はますます困難になっている」と語った。

豪を含む多くの先進国が高い技能を持つ移民を確保したいと考えている。

オニール氏は「移民を低賃金で働かせたり、搾取したりする企業が増えた結果、優秀な移民の確保が難しくなった」と説明した。「安月給で働かされる国に行きたいと思う人はいますか?」

豪はかつて、経済協力開発機構(OECD)の中で最も移民の割合が高い国のひとつであった。しかし、かつては恒久的に定住していた移民労働力も、今では最盛期の半分以下となっている。

内務省によると、熟練技能を持つ移民の最低賃金はモリソン前政権時代の2013年から年間5万3900豪ドル(約480万円)で固定されていたが、これを7月1日から7万豪ドル(約620万円)に引き上げるという。

連邦政府は27日付けの声明で、「国内の正規雇用労働者の約90%が熟練技能を持つ移民より高い賃金を得ており、我が国のゆがんだ技能移民制度を見直す必要がある」と述べている。

アルバニージー(Anthony Albanese)首相は昨年9月、2023年度の永住移民受け入れ数を3万5000人増の19万5000人に増やした。

同国の先月の失業率は3.5%まで改善し、多くの産業で労働力不足が問題となっている。

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