◎オーストラリアではDVが深刻な社会問題になっている。
家庭内暴力のイメージ(Getty Images)

オーストラリアの警察当局は31日、家庭内暴力(ドメスティックバイオレンス、DV)などを対象とする4日間にわたる一斉取り締まりで約650人を逮捕したと発表した。

連邦警察と州警察は先週、シドニーを含むニューサウスウェールズ州(NSW)で取り締まりを決行した。

地元メディアによると、この取り締まりで銃、刀、違法薬物などが大量に押収されたという。

豪ではDVが深刻な社会問題になっている。

NSW警察のウェブ(Karen Webb)長官は記者会見で、「今回逮捕した648人のうち164人が指名手配中の暴力犯だった」と説明した。

またウェブ氏は「逮捕状が出ている者や裁判所が発行した命令に違反している者もいた」と述べた。

22歳の男は失神するまでパートナーの首を絞めたと告発されている。

51歳の男は好意を抱く女性をストーキングし、女性の車に追跡装置を取り付けたという。警察はこの男の自宅から銃器を押収した。

強盗に関与したとされる2人組は短剣、両刃の剣、カイザーナックルなどを所持していた。

連邦警察の報道官は今回の一斉取り締まりについて、「犯罪者を対象とする警察の新たな取り組みのひとつであり、暴力が殺人に発展する前に止めることを目的としている」と説明した。

NSWでは昨年、家庭内暴力による殺人が17件報告されている。

2016年に公表された政府の統計によると、オーストラリア人の5人に1人が身体的または精神的な暴力を経験したことがあるという。被害者は主に女性だが、男性への暴力も報告されている。

国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は豪における女性の暴力を「憂慮すべきほど多い」と指摘している。

豪以外の先進国でもDVが社会問題になっている。専門家によると、コロナの影響で在宅勤務を選択する人が増えたり、進行中の経済危機でストレスにさらされる人が増えていることがDVの増加に拍車をかけているという。

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