◎東部ニューサウスウェールズ州の危機管理局は住民20万人に避難命令、30万人に避難勧告を出した。
2022年3月3日/オーストラリア、ニューサウスウェールズ州シドニーの郊外(Getty Images/AFP通信)

3月3日、オーストラリア政府は東海岸沿いで続いている大雨と一部河川の氾濫を受け、シドニーとその周辺の住民50万人に避難勧告を出し、洪水から身を守るよう警告した。

ニューサウスウェールズ州のクック緊急サービス相は3日、大雨は今後24時間続く可能性があると述べ、市民に警戒を呼びかけた。

気象局も河川の氾濫、鉄砲水、強風による災害に警戒を呼びかけ、河川の近くと低地で生活する市民に早めに高台もしくは最寄りの避難所に避難するよう警告した。

シドニー周辺のいくつかの河川では大規模な洪水が予想されており、近郊の道路には検問が設けられ、通行できなくなっている。

NSW州危機管理局は住民20万人に避難命令、30万人に避難勧告を出した。

同州のペロテ州首相は3日の記者会見で、避難命令が出た地域の住民に身の安全を守るよう強く呼びかけた。「対象地域の住民は雨が強くなる前に行動してください...」

オーストラリアで3番目に人口の多いクイーンズランド州ブリスベンでも複数の地点で洪水が報告されている。気象局によると、同州イングルウッドでは3日未明に5〜6cmほどの雹(ひょう)が降ったという。

ブリスベンでも先週から大雨が続いており、これまでにクイーンズランド州とNSW州の住民14人が死亡し、数万人が避難を余儀なくされた。

ブリスベン郊外では2月28日に市街地を蛇行する河川が氾濫し、浸水が続いている。

クイーンズランド州消防・救急局の報道官によると、ブリスベンとその周辺で逃げ遅れた住民は数百人にのぼり、救助活動が続いているという。

ブリスベンとその周辺では100年に1度といわれる大雨が降り、当局のまとめによると、2日の時点で2,000~3,000戸の民家が床上浸水し、周辺を流れる河川の状況によってはさらに10,000戸以上が被害を受ける可能性があるという。

当局はヘリやドローンで現地の状況を確認しているが、被害の全容は分かっていない。

NSW州の被害状況も明らかにされていないが、オーストラリア放送協会(ABC)によると、数千戸が床上もしくは床下浸水被害を受け、シドニー周辺の道路の多くが洪水により寸断されたという。複数の地域が孤立状態にあると伝えられている。

気象局の予報官であるローラ・ブーケル氏は3日、今後1日か2日かはシドニーとブリスベンを含む広い地域で雹を伴う大雨が続くと思われると述べ、河川の近くと低地の住民は速やかに避難を開始するよう呼びかけた。

2022年3月3日/オーストラリア、ニューサウスウェールズ州シドニーの郊外(Rick Rycroft/AP通信)
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