◎スーチー氏は2月の軍事クーデター以来、公の場に姿を見せていない。
2021年2月12日/ミャンマー、ヤンゴンの抗議デモ(Getty Images/AFP通信)

11月16日、ミャンマーの選挙管理委員会は、昨年11月の総選挙で不正を働いた詐欺容疑でアウンサンスーチー氏と政府高官15人を起訴すると発表した。

軍の支配下に置かれている選挙管理委員会は、国営メディアやその他の軍公式サイトを通じて声明を発表した。政府高官にはウィンミン大統領と首都ネピドーの市長が含まれている。

スーチー氏は2月の軍事クーデター以来、公の場に姿を見せていない。ミャンマー軍の報道官によると、スーチー氏は自宅軟禁下に置かれているが、「よく扱われている」という。

しかし、スーチー氏の弁護士は主要メディアを通じて軍の対応を厳しく非難している。スーチー氏は公の場で話すことを禁じられており、ASEAN(東南アジア諸国連合)および国連特使との面会もいまだに実現していない。

国連は、進行中の弾圧は人道に対する罪に相当する可能性があると繰り返し非難しているが、ミャンマー軍は国連特使の入国を拒否しており、問題の解決に向けた協議は難航している。

スーチー氏は公務秘密法違反、汚職、違法なトランシーバーを所持した罪など、複数の容疑で起訴されているが、国民民主連盟(NLD)と弁護士は告発をすべて却下した。

NLDは昨年11月の総選挙で軍とつながりのある野党勢力を圧倒したが、軍は選挙結果を詐欺と呼び、軍事クーデターを正当化した。

総選挙の過程と結果を追跡した団体によると、投票の中でコロナ対策などに関連する複数の問題が報告されたが、結果に影響を与えるような不正は見つからなかったという。

今年5月、選挙管理委員会のテイン・ソー委員長は、総選挙の不正に関与した疑いでNLDを解散させ、指導者を反逆罪で起訴する可能性があると述べた。

その後、ソー委員長は総選挙の結果を破棄すると宣言した。

軍事クーデター後に結成された国民統一政府の報道官は英BBCニュースの取材に対し、「スーチー氏は危機に直面している」と語った。「軍はスーチー氏に104年の懲役刑を科すつもりです。軍はスーチー氏が刑務所で死ぬことを望んでいます...」

AP通信によると、ネピドーの秘密裁判所は11月30日に判決を言い渡す予定だという。

スーチー氏は1989年から15年近く軍に拘束され、その後、ミャンマーに民主主義をもたらした功績によりノーベル平和賞を受賞した。NLDは2015年の総選挙でも地滑り的勝利を収めている。

しかし、スーチー氏の評判は2017年に始まったロヒンギャ危機への対応をめぐってひどく損なわれた。軍のミン・アウン・フライン司令官はロヒンギャを含むイスラム系少数民族に対する大量虐殺、レイプ、強制送還など、人道に対する罪で告発されている。

スーチー氏は軍の虐殺を放置したという告発を受け、2019年に国際司法裁判所(ICJ)に出廷した。

<アウンサンスーチー氏の主な裁判>
・汚職罪:15年以下の懲役
・公務秘密法違反:14年以下の懲役
・輸入法違反(トランシーバーの輸入):3年以下の懲役
・電気通信法違反(トランシーバーの輸入):1年以下の懲役
・自然災害法違反(2件):それぞれ3年以下の懲役
・扇動罪:3年以下の懲役
・選挙法違反:?

2019年12月11日/オランダ、ハーグの国際司法裁判所、ミャンマーのアウンサンスーチー氏(ロイター通信)
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