カテゴリー5に成長した巨大サイクロン”アンファン”、間もなくベンガル湾沖に上陸する

インド東部とバングラデシュで続く大雨は、カテゴリー5に成長し両国に接近中の巨大サイクロン「アンファン(Amphan)」によってもたらされている。

19日、ベンガル湾沖からゆっくり北上する巨大サイクロンに備え、両国政府は付近に住む数百万人を避難させた。インドの気象部門は、「アンファンは20日の午後以降に上陸する」と発表した。

両国の当局関係者は、コロナウイルスの感染拡大防止と避難の両立に頭を悩ませている。両国は学校、体育館、サイクロンの激風に耐え得る建物を避難所にすると公表した。しかし、社会的距離を保ちながら数百万人を避難させることは非常に難しく、多大な労力を要する。

アンファンの影響を大きく受けると予想される西ベンガル州警察関係者は、署員が万一コロナウイルスに感染すれば、救助活動や治安維持活動が影響を受けると判断し、署にとどまることを決めた。

インド当局によると、20超の救援チーム配備が既に完了しており、来るべき時に備えているという。

アンファンは同地域に上陸したサイクロンの中でも、最高レベルの規模にまで勢力を拡大している。20日AM時点の予想風速は52m/s、カテゴリー5の規模を維持したまま上陸する可能性が高い。

バングラデシュ当局は、2007年に約3,500人の死者を記録したサイクロン以来の被害規模になるかもしれない、と警戒を強めている。その時は、高潮の影響で海水面が急上昇し、死亡した者の大半が波にさらわれた。

両国で降り続く雨は現在小康状態にあるものの、アンファンが消滅したわけではない。インドの気象部門は、「嵐の前の静けさが去り、3~5m以上の波、高潮が押し寄せる」と予想している。

アンファン(Amphan)

アンファンは、コロナウイルスによって仕事や行き場を失った多くの移民労働者が暮らす地域に狙いを定めている。西ベンガル州とオリッサ州には、同国の主要都市から逃れた移民労働者たちが集まっており、それが避難活動の難しさに拍車をかけてしまった。

アンファンの接近に伴い、オリッサ州は5月18日から20日の間に到着する予定だった移民列車を全てキャンセル。数千人が同州への立ち入りを拒否され、始発駅のある都市部は混乱状態に陥ったという。

さらに同州の地区当局者は、サイクロンの接近に伴うエリア内への立ち入り禁止措置を発動。アンファンが去るまで、都市部や他の州からの移民労働者受け入れを拒否するよう、州政府に要請した。

バングラデシュの防災大臣はBBCの取材に対し、「約200万人がアンファン上陸に備えて避難する予定である」と語った。

避難所ではマスクが配布され、また、用意された避難スペースも社会的距離の確保を念頭に置き、避難者たちが一定のスペースをとれるよう配慮したという。

インド当局は避難所の確保に苦労している。オリッサ州では、既存の避難所約800カ所のうち、約250カ所がコロナウイルスの隔離センターとして使用されている。

また、数百万人を一斉に避難させようとした結果、一部のエリアに人が密集し、社会的距離の確保は極めて困難な状態にあるという。ベルガン湾沖の諸島からも5万人近い避難者が押し寄せており、当局は早急な対応を求められている。

1999年にベンガル湾沖を襲った巨大サイクロンでは、9,000人以上が命を落とした。今回のアンファンもそれに匹敵する被害が予想されている。

20日正午からベンガル湾沖で波風が強まり、その後、西ベンガル州周辺とバングラデシュ海岸一帯が暴風域に入る見込みである。両国の気象部門は、最大級の警戒を呼び掛けている。

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