◎周庭(しゅうてい)氏は2019年の香港民主化抗議に参加した容疑で懲役10カ月の実刑判決を受け服役していたが、収監から約7カ月で釈放された。
2021年6月12日/香港の刑務所前、民主活動家の周庭氏(中央)(AP通信/Vincent Yu)

6月12日、香港の民主活動家である周庭(しゅう てい)氏が刑務所から釈放された。周庭氏は2019年の香港民主化抗議に参加した容疑で懲役10カ月の実刑判決を受け服役していたが、収監から約7カ月で釈放された。

現地メディアによると、香港当局は刑期が短くなった理由を明らかにしていないという。周庭氏は多くのジャーナリストに迎えられたが、取材には応じなかった。

周庭氏を迎えた支持者はごくわずかだった。これは共産党指導部が1年前に施行した国家安全維持法を考慮しての対応と考えられている。香港当局は活動家の集会であれば小規模なものでも取り締まることができる。

主要活動家の黄之鋒(こう しほう)氏やアップルデイリー紙を創設したメディア王のジミー・ライ氏も国家安全維持法違反で逮捕された。共産党は1997年の香港返還でイギリスと取り交わした香港の自由を維持するという協定に違反し、平和的に抗議する活動家や市民を痛めつけ、一国二制度を打ち負かした。

周庭氏は普通選挙を求めた2014年の抗議活動「雨傘運動」で注目を集め、一部の民主活動家や市民から「本物の木蘭(ムーラン)」「民主化の女神」と呼ばれるようになった。

周庭氏は日本に多くのフォロワーを持ち、頻繁に日本を訪れ、流暢な日本語でツイッターにコメントや動画を投稿していた。

2019年の抗議活動は、犯罪者を中国に送還し、秘密裁判にかけることを可能にする法案の成立に反対する民主活動家たちが開始した。この法案は撤回されたが、抗議活動は普通選挙と警察の虐待の調査を要求するものに変化した。

形骸化している全国人民代表大会(NPC)は昨年、国家安全維持法を前回一致で可決し、習近平 国家主席の机に送った。その後、法律は2020年6月30日現地時間23時に施行された。

法律の66条の詳細はNPCを通過するまで秘密にされていた。香港国内で以下の抽象的な行為を働いた者は治安部隊に叩きのめされ、逮捕される。

・当局の許可なく国を離れる
・政府の権力を弱体化させる
・暴力、脅迫、テロ
・犯罪者との共謀

NPCは今年3月、香港の選挙制度を見直す法案を全会一致で承認し、香港特別行政区立法会(LegCo)は先月末、この法案を可決した。これにより、有権者の直接投票の権利は大幅に削減され、LegCoは共産党指導部に忠誠を誓う建政派議員に支配されることがほぼ確定した。

アメリカの制裁下に置かれている香港の林鄭 月娥(りんていげつが)行政長官は、共産党指導部の命令に基づいて行動していると信じられている。

2021年6月12日/香港の刑務所前、民主活動家の周庭氏(中央)(AP通信/Vincent Yu)
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