ベネズエラ総選挙、野党はボイコット呼びかけ、弾圧続く中

▽捜査当局は23日、国家転覆を企てたとして、野党議員を含む数十人を逮捕し、どこかに連れ去った。
2025年5月25日/ベネズエラ、首都カラカス、記者団の取材に応じるマドゥロ大統領(AP通信)

南米ベネズエラで25日、総選挙が行われた。

地元メディアによると、多くの有権者が連邦議会、地方議会、知事などを選ぶために投票所に足を運んだという。

野党は過去数カ月間、投票をボイコットするよう支持者に呼びかけてきた。

ベネズエラでは昨年の大統領選挙以来、分断と貧困が拡大し、数十万人が国外に脱出した。

独裁者のマドゥロ(Nicolas Maduro)大統領は選挙に参加するよう呼びかけてきたが、議会選の投票率は20%に届かないと予想されている。

地元の調査会社が4月29日から5月4日にかけて行った世論調査によると、25日に投票する可能性が高いと答えた人はわずか15.9%。そのうち74.2%はマドゥロ氏の支持者であった。

捜査当局は23日、国家転覆を企てたとして、野党議員を含む数十人を逮捕し、どこかに連れ去った。

スペインへの亡命を余儀なくされた野党指導者ゴンザレス(Edmundo González)氏は25日、支持者に投票をボイコットするよう改めて呼びかけた。

ゴンザレス氏は昨年の大統領選に出馬し、マドゥロ氏に圧勝したと考えられている。

しかし、マドゥロ氏に忠誠を誓う選挙管理委員会は集計結果を公表せず、マドゥロ氏が得票率51%で勝利したと宣言した。

野党陣営は全国の電子投票機が印刷した集計表の80%以上を確保・精査した結果、全野党の統一候補であるゴンザレス氏の得票数はマドゥロ氏に2倍以上の差をつけていたことが明らかになった。

米国やEUを含む数十カ国が選挙の勝者をゴンザレス氏と認定。選管に透明性のある集計結果を公表するよう呼びかけてきた。

しかし、最高裁判所は24年8月末にマドゥロ氏の勝利を認定。さらにカラカスの地方裁判所は同年9月、ゴンザレス氏が選挙結果を捏造し、暴動を煽ったなどとして逮捕状を発行した。

この結果、ゴンザレス氏はスペインへの亡命を余儀なくされた。欧米諸国はその後、マドゥロ政権に対する制裁を強化した。

大統領選以降の抗議デモで2000人以上の市民が逮捕され、その多くが公正な裁判を受けることなく刑務所に収監された。

ベネズエラは世界最大の石油埋蔵量を誇り、かつては南米最大の経済大国であった。しかし、その経済は米国の制裁とマドゥロ氏の後先考えないバラマキ政策で急速に悪化。GDPはマドゥロ氏が就任した2013年以降、右肩下がりとなり、2021年には10年前の2割以下に落ち込んだ。

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